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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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自給自足って...

今までローカル・フードを置いていなかったコロニアの小さな店先に、こんなバスケットが並ぶようになった。中身はヤップ人の元祖主食である田んぼのタロ芋ラック、わたしの膝下くらいのサイズが3~4本入って15ドルなり。
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夏休み中というのもあって、ヤップ州内の離島から出てきた人の数も増えている。今年はすべての離島から100人もの若者をヤップ島に呼んでユース・サミットというのをやったのは良いが、それに参加した連中が1週間のサミットを終えたあとも、帰る船が無くてゴロゴロしている。その中には、島に帰りたくない、ヤップで働くっと言い出している者も多いらしい。わたしもそういう一人と会ったけれど、彼らの働き口がそうそうヤップにあるとは思えない。いったい、何のためのサミットだったんだか...

それはともかく、ヤップ島の人はみんな自分の田んぼや畑があるから、忙しく商売してる人やよほどの怠け者でない限り、主食(芋)とおかず(魚)はほぼ自前で調達している。一方、離島から出てきた人たちはヤップ島には土地がないから、ヤップ島の誰かからもらう(買う)か、店で買うかしか、食糧の調達の方法はない。ローカル・フードを売る店が増えてきているのは、離島人口の増加と大いに関係があるだろう。

ところで最近、文化人類学を専攻しているという学生さんのツーリストに出会った。ヤップの伝統文化と自給自足の生活を学びに来ました...と。ふ~ん、それでは自給自足って、どんな生活か想像できる?と、イジワルな逆質問をするわたし(笑)。

ブタ飼ってるの見たことある?___ありません。
ニワトリに触ったことある?___ありません。
サカナ、おろせる?___スーパーの切り身しか...

う~~ん、あなた「自給自足の生活」と気安くコトバで言ってるけど、それがどんな実態のものか、まず実地体験、あるいはそこまで及ばなくても、せめて想像だけでも、実体・カタチのあるものとして、そのモノをつかむことから、すべての思考は始まるんじゃないのー?

そんなお節介なレクチャーのあと、うちのスタッフに頼んで、この学生さんのインタビューに応じてもらった。その双方の反応がおもしろかったので、以下にメモ:

〇学校で伝統的な生活術を学びましたか?
チョメ:ノー
G嬢:ノー
  ※それらは学校で学ぶものという先入観があった学生さんは驚愕!

〇それじゃ、どこで習ったの?
チョメ:村の年寄りから
G嬢:主に家族から
  ※小さいときから生活=家の手伝いを通してってことですネ!

〇ヤップの暮らしに満足していますか?
チョメ:もちろん!
G嬢:はい!
  ※言下のポジティブな答えにこれまた学生さんビックリ!

〇それはどうして?
チョメ:自分の生まれ育ったところだからさ。
G嬢:だって暮らし慣れてるもん。

〇家族全体の食費でキャッシュの占める割合はだいたいどのくらい?
チョメ:25%はいくなあ...
G嬢:10%くらいかしら?

〇主にキャッシュで買う食品は?
チョメ:米に醤油に...塩はあるから(海を指差し)、そうそう魚取りに行くガソリン代!
G嬢:主に調味料ね。

〇食料以外で一番多い現金支出は何?
チョメ:電気代!
G嬢:電気代!

てな具合に、(チョメの答にはビール代が入っとらんだろーが...というツッコミは別として)、予期せず、かなり標準的ヤップ人の回答が得られた次第。もちろん家・土地に税金はかからないし、調味料や電気も無ければ無いでなんとかなる、ガソリンが無ければ魚も近くで獲れば良いし...。モノがあれば便利に使うけれど、無ければ簡単にキャッシュレスの生活に入れる、そういう根本的な生存保証のある安心感!わっかるかなあ~?

離島から若者がヤップ島に流れてくるように、ヤップの若者で島の外に出て行っている者も多いけれど、彼らが「生まれ島」=「自分の土地」への結びつきを保っている限り、いつでも帰る場所があるというのは強い。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2010-07-26 23:39 | ヤップの伝統食
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