お世話になっているおばあさんの家を訪ねたら、バナナのイム(qiim)をいただいた。娘さんが冷凍庫から取り出したそれは
リーチ(riich)の葉に包まれてカチンカチンに凍っており、しかも緑色が鮮やか、はて、こんな緑鮮やかなイムは見たことないなあ...とわたし。
これからまた仕事に戻るの?と聞かれて、はあ、そのつもりですと答えると、おばあさんと娘さんは顔を見合わせている。
これはね、まだ生のバナナだから溶かさないでそのまま茹でるんだよ、でも、仕事場に戻るんじゃ解けてわるくなっちゃうねえと、おばあさん。
あっ、それじゃ一度家に寄って、冷凍庫においていきますから、というと、ふたりはホッとした顔になった。
ヤップ語でイム、あるいはサブ(thab)といわれる、リーチの葉っぱでくるんだチマキのような料理を作るには、パンノキの実、タピオカ、ブオイ(タイヘイヨウグルミ)の実、タロイモ、あるいはバナナなどを削ったりつぶしたりして包み、それらをすぐに茹でる。
わたしはイムを保存するにも茹で上げてからと思っていたが、今回いただいたのは、生のバナナをすりおろし、ココナツの実(コプラ)を削ったものと合わせてリーチの葉で包み、茹でないですぐに冷凍したものだった。バナナのひとふさは大量なので、少人数では熟れすぎて悪くなる前に食べきるのが大変なのだが、こうしておけば、いつでも好きなときにさっと茹でるだけで食べられる。
言われたとおりに、お湯を沸かして凍ったままのイムを鍋に放りこんで茹でること約30分、見事に美味しいバナナのイムが出来上がった!
熱帯の常温では茹でたイムが美味しく食べられるのは、せいぜい朝作ったものは同日の夜まで、前夜に作ったものは翌日の昼ごろまでと、けっこう足が速い(長期保存用には特別の作り方もあるけど)。今では冷蔵庫に入れておけば数日は大丈夫だが、茹でたイムを冷凍してしまうとぐ~んと味が落ちるから、やはり冷蔵に留めて早めに食べたほうが良い。
またイムの作製にはちょっと手間がかかるので、たいていは一気に大量に作る。ローカル・レシピの中では何かの理由があってのご馳走的なおやつ兼主食、あるいは携行食という位置づけだ。ところが冷凍庫という便利な道具の出現で、茹でる前の生イムの保存が可能になり、それが一般家庭でも普通に作られているとは!ヤップの伝統的な食材を、便利なモダン器機を駆使して新しい調理・加工・保存法を編み出す...なんだか楽しいな。
もちろん昔どおりの手間隙かけて作ったほうが美味しい料理もたくさんあるけれど、このバナナの生イム冷凍保存は、モダン器機駆使の成功例のひとつとだと思った。こんど大量のバナナが手に入ったら、めんどうがらずに自分でも作ってみようかな^^
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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