もう1週間ほど前の話になりますが、実はわたし、ベイビーを授かりました、しかも17…
子個も^^ シャコガイのベイビー!
独立間もない80年代後半から90年代前半にかけて、ヤップ州の海洋資源局(MRMD)では、
パラオ海洋水産試験場からシャコガイのベイビーを何度か輸入して、その育苗生産を試みていた。これはベイビーを大きく育てて食べてしまうのではなく、それらを「親」として放精・産卵できるまで育て、彼らから産まれたベイビーが、やがてヤップ中のリーフに広がっていくことで、激減したシャコガイ資源を回復させようというものだった。
その後いろいろな事情で止まっていたシャコガイの種苗生産だが、今年の2月、ヤップの海洋資源局に、再びパラオから4000個の稚貝がやってきた。ベイビーたちはまず、海洋資源局の水槽でひと休み。
2月から今まで、酸素も入れてない水槽に、こんなに混み合った状態で置いてたのぉ…と口まで出かかった言葉を押さえつつ…(笑)
シャコガイ科(Tridacnidae)は2属からなり、その下にいろんな種があるが、そのうち育苗生産されているのは、主に成長が速く、かつ食用としても有用な(美味しい)種だ。今回ヤップにやってきたのは、
↓
ヒレナシシャコガイ(
Tridacna derasa)↓
↓
ヒレジャコガイ(
Tridacna sqamosa)↓
そして↓
シャゴウガイ(
Hippopus hippopus)↓
の3種。いずれも生後2年くらいのサイズ。
パラオ海洋水産試験場は、シャコガイの放精・放乱から受精、採卵、育苗まで行っており、稚貝を、地元や島外に出荷・輸出している。パラオに行っらぜひ
パラオ海洋水産試験場を訪れてみることをお薦めするが、シャコガイの育苗生産のプロセスは、下にリンクした沖縄水産試験場のPDFでもよくわかる:
〇
シャコガイの種苗生産
http://www.pref.okinawa.jp/fish/suisihoukoku/iwai.pdf
↓こちら↓のサイトも、シャコガイの種類が写真入りで解説されてて楽しい。ただし筆者はアクアリストらしく、水槽で育てるのに適した「あまり大きくならない」シャコガイに、よりボリュームを割いているけど^^:
〇
シャコガイのお話:シャコガイのなかまたち
http://neoaqua.web.fc2.com/aquarium/a/syakogai-2.html
ヤップに住んで間もない頃から、わたしは妙にシャコガイと縁があった。当時、海洋資源局はヤップ州の各離島のリーフにも、4~5年物のシャコガイを置いていて、それらをスクーバで潜って計測する仕事を、わたしはひょんなきっかけから仰せつかり、1993年の2月から3月にかけて、ヤップ州のほとんどの離島を潜る機会を得た。とはいっても、各環礁のシャコガイを置いてある場所でひとり、延々とサイズを測って数を数えていただけだけど。それでも島によっては、スクーバダイビングで潜る「女」を初めて目撃した男たちも多く、
(当時はわたしも若かったしねえ…)けっこう話題になったっけ…。
さて、過密状態で水槽に入れられていたベイビーたちが、やっとリーフに移されることになった。まだ小さいので、2.5センチ角くらいのワイヤー・ネットで作ったケージに砂利を敷いたものに入れて、潮通しの良い浅い礁湖に置いておく。そこで1~2年ほど大きくなるのを待って、再び離島に配布するという。5月末のある日、ルムング目先の礁湖にケージを置きに行く作業を手伝った。
ここにはかつて、10年モノの大きなシャコガイがたくさん置かれていたが、度重なる台風と、シャコガイ・ドロボーのため、いまはひとつも残っておらず、今回のプロジェクトの第一陣として4月末に置いたケージが、淋しそうに横たわっていた。それにしても、砂地の礁湖にしては意外に藻の付着が速いし、サンゴ砂にも泥が混じっているし、昔とずいぶん様子が違うなあ…。
海洋資源局が90年代初め頃から使っているこの場所は、幼いシャコガイの育苗にはもはや適さなくなったのではないか… わたし自身が見続けてきたヤップのリーフの20年間の変遷を思い返しながら、ちょっと憂鬱になった。
とはいっても、潮位の関係で作業時間は限られている。一緒に行った海洋資源局のシャコガイ係
Mくんと、早速、作業に取りかかった。
まず1ヶ月前に置いたケージを開けて、死んだ貝を取り除き、かぶった砂や藻を取り除き、生きている貝をきれいに並べ替える。
↑
ヒレナシシャコガイ(
Tridacna derasa)↑はわりと元気そうで、ケージの中を好きな場所に移動して、好きな格好で足糸を絡めていた。
色鮮やかな
ヒレジャコガイも元気なのが多く、一安心。しかし、
シャゴウガイはどれも小さく、砂をかぶってしまって息も絶えだえとう感じなのが多かった。
藻のついたケージをきれいにして、シャコガイを並べかえる。
その後、今回持っていったケージを並べていき、前回に置いた4個の5年モノの
ヒレナシシャコガイをケージを置き皿(?)にして配置した。
さすがシャコガイ係の
Mくん、シャコガイの扱いに彼の
愛が見える(笑)。わたしも負けずに、ひとつひとつ、ていねいに置いていったよ^^
それで、作業をしながら、ず~っと思っていたことがあって、それを帰りのボートの中で言ってみた:
Mくん、わたしにも少しベイビーを分けてください!
実はマリーナのうちの桟橋の下にも、90年代からシャコガイが置かれていた。わたしは覚えていないけど、それらを置いたのも自分だと
Mくんは言う。全部で13個、殻長60センチ以上にもなったのもいて、先代のマリーナ・レストランがちゃんと営業していた2003年までは、美しい外套膜を広げた大きなシャコガイを、客席からも眺めることができた。それが、2004年4月のスーパー台風によって半分が流され、レストランが長いこと休業していて人の目が無かったせいで、残ったものも、いつのまにか中身を持っていかれてしまった...(怒)。
さて、わたしのリクエストに
Mくんもホイホイ乗ってくれたので、ケージ1個に砂利を入れ、11個の
ヒレナシシャコガイ(
Tridacna derasa)と、4個の
ヒレジャコガイ(
Tridacna sqamosa)と、2個の
シャゴウガイをもらうことができた。
桟橋からは近いけれど見えない微妙な距離で、満潮時4メートル強、低潮時3メートル前後の水深がある場所を選び、泥に埋もれないように下に石を積んで、ケージの一方を固定した。
そっとフタを閉めて見守っていると、まず
ヒレジャコガイが口を開き始め、
ヒレナシシャコガイがそれに続いた。臆病な
シャゴウガイはなかなか口を開かない。
しばらく離れて様子を見ることにして、ちょうど干潮時で透明度は2mぐらいしかなかったけれど、中身を抜かれて死んでしまったシャコガイを捜してみた。
いたいた、これは
ヒレナシシャコガイの殻。全部で4個の貝殻を見つけることができた。今日からわたしのベイビーになった17個のシャコガイたちには、ぜったいに、こういう目に合わせないからね!
さて、わくわくしながらベイビーたちの元に戻ってみると…
わ~い、
シャゴウガイもかすかに口を開き始めてた。それにしても、シャコガイ・ベイビーを見つめてるだけで、時間の経つのも忘れるなあ。ず~っと見つめ続けても飽きないよ(笑)。
もう少し成長したら、それぞれに名前をつけて、もうひとつケージももらってきて… もっと大きくなったら、もっと大きなケージに作り変えて… あの13個のサイズにするには、10年以上かかるんだよなあ… お母さんも元気でいなきゃ(爆)。
というわけで、これから月に2回くらいのペースで、わがベイビーの成長記録、シャコガイ日記をアップしますね~^^
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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