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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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TBS「日立世界ふしぎ発見!」ヤラセ大爆発のヤップ編・その弐

その壱 | | その参

a0043520_314317.jpgさて、シーンはガギル地区のワニヤン村からマアプ地区のオチョラップ村に移り、またまたヤラセの大爆発!ヤップ島式に正装した成人の男たちが、石貨を運びながら登場してきた。
石橋奈美:実はこの石貨、日本から来た私たちのために、島でも特別に価値が高いものを用意してくれたものなんです。
はああ、それがなにか? なんでも「わたしたちだけ特別」を強調して視聴者を騙したいその心理、いったいどこから来るもんなんデスカ?「わたしたちだけ特別」というなら、なぜそういう待遇を受けられたのか?「特別に価値が高い石貨」というなら、それをどうやって見分けるか?そこまで説明してもらわなきゃ、何の説得力もないでしょうに。(あっ、このセリフ、一般視聴者にではなく、スポンサーの日立さんに言ってたの?-爆)

a0043520_315279.jpgやがて、筏(いかだ)に組まれた石貨は、これまた正装のヤップ男たちが操るカヌーで、リーフの中だけを帆走しましたとさ(笑)。
ナレーション:このアウトリガーカヌーは、もともと東南アジアが発祥、彼らがアジアから太平洋に乗り出した証拠のひとつとされている。紀元1世紀ころから、20世紀半ばまで、このカヌーで、ヤップ島の人々は、石貨を500キロ、東京-大阪間にあたる距離を運び続けていた。このような習慣があったからこそ、ヤップ島に伝統の航海術が受け継がれてきたのだ。
もう、聞いてるほうが恥ずかしくなっちゃうくらい、根拠のない幼稚な断定(見てきたような嘘を言い)と、空虚なコトバが炸裂しまくってるけれど、
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1)太平洋の人々がアジアから渡ってきたことは、カヌーに限らず、いろいろな面から広く知られているし、

2)なにも記録の残っていない過去を、「紀元1世紀ころから、20世紀半ばまで」とはっきりした数字をあげて断定する破廉恥な神経など、わたしのような一介のツアー・ガイドですら持ち合わせないし、

3)ヤップ島における航海の伝統が、離島に比べて急速に廃れた事実や、その理由についてまったく触れてないし、

視聴者がちょっとでも頭を使って考えたら、上のナレーションはなんのこっちゃ?の空虚な言葉の羅列に過ぎんのだが...(怒)。

a0043520_3154649.jpgまあ、どうせ、その程度のオツムの人々が作ってるバラエティなのだろうから...と怒りを静めつつ先を続けることにすると..
石橋.奈美:クエッションは、ミクロネシアにやってきた人々が、必ずカヌーに乗せていたものからです。その昔、近隣の無人島にあるものを持って行き、そのあとしばらくして、それが育っていることを確認してから移住していき、大海原に点々とする島々に広がっていったと考えられています。
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石橋奈美:正解はこちら、ヤシでした。
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きゃ~きゃ~きゃ~、ここんとこも、うちのスタッフ全員で笑い転げたオカシナ場面のひとつでして...
ナレーション:ヤシの実がアジアから太平洋の島々に自然に漂着しても、長い間海水に漬かっているため、芽を出し成長することはない。これさえあれば生きていけるという、万能なヤシをまず育ててから、人々は西から東へと移住していったという。
またまた、根拠のない幼稚な断定(見てきたような嘘を言い)しちゃってる!

昔も今も、人々は発芽できる完熟したココヤシの実(コプラ)を携えて航海に出ることに変わりはない。それはまず第一に、コプラは食料としても長持ちするからだ。また余ったコプラが行く先々の島で芽を出し根を生やし広がっていったことも間違いではない。だが、長時間海水に浸かったココヤシの実でも発芽することは、研究者の論文を読まずとも、南の島では常識デアール!したがって、この答も、いったい何のこっちゃ?ナノデスヨ。

万能なヤシをまず育ててから、人々は西から東へと移住という部分に、うちのスタッフ全員から激しくツッコミが入った:
わざわざココヤシの実だけを植えに渡り、それを確かめにまた行くなんてこと、誰がするもんか。しばらく住むつもりなら、もっといろんなものを持って行くさ
だって。ハイ、ごもっともで!(笑)

a0043520_318157.jpgそれで、←このココヤシの実。ジュースもだいぶ甘くなって、果肉も分厚く、飲みごろ食べごろというところだけど、まだ完熟するには、ほど遠いって感じ。

ココヤシの実は、成長段階によって、ジュースの味も果肉の状態や厚さも、まったく違う。だから、自分で木に登って採る場合は、そのときどきの好みや目的にあった実を採ってくれば良いわけなのだ。

a0043520_3194666.jpgふむふむ、美味しそうにココヤシのジュースを飲んでいるのは良いけれど...
石橋奈美:ヤシはミクロネシアで命の木と呼ばれる万能の植物、たとえば、その実から取れる繊維を利用してとても強いロープができるので、集会場など伝統的な建築に欠かせない建材としても使われます。
ちょっと、待ったあ~~~!!

a0043520_321998.jpgヤシロープにする繊維は、自然に木から落ちた実(コプラ)からのみ取れマス!キッパリ。

←↑これって↓、今じぶんが飲んだココヤシの実の皮じゃん!こんなんじゃ、弱くてすぐ腐って、ロープどころか、コヨリにすらならないよ(爆)。

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ヤシロープ作りの様子は、こちらの記事に出ているから、どうぞ(登場人物がみなフンドシ姿なのは、ヤップデイという祭りの出し物だったからで、普段のヤップ人はこんな格好で生活はしておりません):
ヤップデイ続き-男の仕事
http://suyap.exblog.jp/5189280/
2008年のヤップデイ-2日目
http://suyap.exblog.jp/6859793
さて、数々の勘違いと大嘘をばらまきながら、ミステリーハンターの探求はまだ果てしなく続くのであった...(脱力)

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石橋奈美:これにタロイモやバナナを入れるそうです。このバスケット、赤ちゃんの揺りかごにも使われます。
オイオイオイオ~イ!生のココヤシの葉で編んだ上のヤシの葉篭は、たしかにタロイモなんかを入れて運ぶのに使ってOKだけど、それに赤ん坊なんて入れたら、すぐに破れて赤ちゃんが落っこっちゃうよ!

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↑赤ん坊を入れる篭↑は、同じココヤシの葉でも、ちゃんと煙で燻して熱処理したものを使い、編み方も、ハンドルの材質もつけ方も違って、丈夫で長持ちするように作ってある。そういう説明をしないで、生の葉の篭編みシーンからすぐに赤ん坊の入った篭じゃ、大きな誤解を招くだけ。まあ画を撮ってるヒトもしゃべってるヒトも、その違いを知らなかった可能性も大きいけどね(爆)

a0043520_3294427.jpgさらに、もうひとつの壮大なヤラセが始まった。まだ4月の貿易風の強い時期に、松明をたくトビウオ漁を、カヌーを使ってヤラセようとしていた。(さすがに風が強くて中止といっていたけど、明らかに、これは画と撮るためにカヌーを出させたものだね)。

ちなみに「日立世界ふしぎ発見!」の製作会社はテレビマン・ユニオンで、この会社、10年くらい前にも、ヤップのトビウオ漁を取材しに来ていたっけ、それも同じマアプ地区の違う村で(笑)。もちろん、そのトビウオ漁も「撮影のための」ヤラセだったのだけど、そういう情報のストックがあったからこそ、今回の取材でも、トビウオ漁にこだわったのかな?確かに「画」にはなりやすい。

a0043520_3483772.jpgヤップ島のトビウオ漁は、伝統的には、なかなかややこしい、たくさんのキマリごとに従って行われていたようだ。昔は、今のように個人が好き勝手に漁に出るということはなかったし、取れた魚を配分するときのキマリごともしっかりあった。トビウオ漁に関しては、とくにそれがヤヤコシかったと聞いている。
ナレーション:海を知り尽くしているからこそ、危険な夜の海にも出ることができる。ヤップの男たちは、かつて、このトビウオ漁に参加することで、一人前の男として認められた。
オイオイオイオ~イ、ここでもまた、根拠のない幼稚な断定(見てきたような嘘を言い)デスカ(笑)。

実際には、「海を知り尽くし」たから「一人前の男として認められて」トビウオ漁に参加できたわけじゃなく(「海を知り尽くす」だなんて、なんと不遜な言い方だろう!)、多くのよその村を巻きこむ大掛かりで儀式的要素の強いトビウオ漁に参加することが、「一人前」の男としての通過儀礼ではなかったのか?

現代のヤップ島では、こういうテレビ取材でもない限り、トビウオ漁は行われなくなっており、若い頃にそれらを経験したことがある世代も、どんどん少なくなりつつある。


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TBS「日立世界ふしぎ発見!」ヤラセ大爆発のヤップ編・その壱
http://suyap.exblog.jp/8969516/
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http://suyap.exblog.jp/8969665/


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by suyap | 2009-09-15 23:42 | ヤップと日本のメディア
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