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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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TBS「日立世界ふしぎ発見!」ヤラセ大爆発のヤップ編・その壱

その弐 | その参

a0043520_0323366.jpg番組を録画したDVDを送ってくださった皆さん、お待たせしました~!(なんと1年半も)。去年の5月17日(土)に放映されたTBS「日立世界ふしぎ発見!」のヤラセ爆発ぶりを、これからメッタ斬りしま~す。

テレビ局の宣伝にまんまと引っかかり、「日立世界ふしぎ発見!」をドキュメンタリーだと信じてたり、少なくとも「他のバラエティと比べれば良質」と思っている人も多いようですが、実態は現地の人々や視聴者を馬鹿にした悪質なヤラセ!番組です。

a0043520_0332531.jpgヤップ編についても、その内容はあまりにも酷くデタラメで、「斬る」にしてもいったいどこから手をつけて良いやら...。おまけに録画を見るたび、わたしの頭と心臓はバフバフとオーバーヒートを繰り返すし(これこそ怒り心頭にしていうやつね)、気にはなりつつ、つい時間が経ってしまいました。でも、今から思えば、もっと早いうちに、これを書いておくべきだった...

a0043520_255273.jpgというのは、この番組に登場した石橋奈美というタレントが、その後、ヤップ取材をコーディネートした日本人と結婚してヤップに住み始め、その「ダンナ」の手伝いで自分とこのツアーをガイドするだけならまだしも、なんと、ちゃっかりとヤップ観光局からギャラをもらって、ヤップの宣伝をするということになってしまった。まわりの日本人らに乗せられて、日本の元女優という触れこみで観光局に売り込んだらしいが、年齢的にも30歳を過ぎ、実態的にも先細るテレビ・タレント稼業に見切りをつけて引退した元キャンペーン・ガールが、プロダクションのバックアップもなしで、いったい何ができるというんだろうね?

a0043520_034522.jpgだいたい、嘘とヤラセででっち上げた世界ふしぎ発見!のような幼稚なノリで宣伝してもらっても、それを信じてヤップに来てしまうシンプルな人らに対応しなけりゃならないのは、われわれ現地のツアー・オペレーターなわけで、ホントに困ったものなのだ。

でもまあ、日本もどんどん不景気になって失業率も上がっているし、こんなバラエティ番組を信じてパッとヤップに来れてしまう人種はめちゃ少なくなっているだろうから、あまり心配しないでも良いのかもしれない。でもそれならばなおさら、少ない観光予算の中からワラをもすがる思いで日本の元女優の威力に賭けてみた、日本の事情を知らないヤップ観光局とこちらの観光業者を、まんまと騙して観光予算をパクッたことになるんではないかい?

しかしまあ、こんな質面倒くさいことを書いても、たぶん本人も取り巻き日本人らも、それがわかるセンスをお持ちじゃないだろうから、まずはモンダイのTBS「日立世界ふしぎ発見!」ヤップ編の大嘘つきとデタラメぶりを、とくと説明して差し上げましょっ。少なくとも、「世界ふしぎ発見!」のような大嘘とヤラセで、ヤップの宣伝をしないように!(怒)


a0043520_036155.jpg長いことヤップにいれば、海中でも陸上でも、たいがいの画は、どこで撮ったかすぐにわかるんだけど。

ちなみに、←このマンタちゃんは、ミル・チャネルの「あの場所のクリーニング・ステーション」の「あのサンゴ」の上を通過中デスネ(笑)。
ナレーション:現れたのは全長5mの巨大マンタ。めったに遭遇できないダイバー憧れの生き物に、ヤップではほぼ確実にあうことができる。
オイオイオ~イ、いくらなんでも5mはないでしょ、それじゃタタミ6畳以上の広さだよ(爆笑)。まあ、これくらいの誇張はカワイイものとしても、
石橋奈美:このマンタ、普段は深海にいるため、なかなか姿を見せないのですが、深海のすぐ側にサンゴ礁があるヤップでは、熱帯魚たちに身体を掃除してもらうため、集まってくるんです。
オイオイオ~イ、深海ってのは、いったいどのくらいの深さのことを言ってるの?はっきりいって、ヤップ島のまわりはそんなに深くない!ちょっと島を離れると、大陸棚200mくらいの水深になるのは、どの島でもアタリマエで、うんと深いヤップ海溝までは相当な距離があるし、「島のすぐそばに深海がある」といえば、パラオのほうがより当たっている。もちろんマンタの主な食事場は深い海のプランクトンだろうけど、それはなにもヤップ島のまわりだけとは限らない。実際にマンタは何百キロも泳いで島から島を渡っている生き物だ。このような、根拠のない幼稚な断定(見てきたような嘘を言い)は、この番組のコマッタ特徴のひとつだ。
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石橋奈美:そんなマンタが泳ぐ海の底で、ふしぎなものを発見しました。なにやら穴の開いた石の彫刻が沈んでいます。いったいなぜ、このようなものが海に沈んでいるのでしょうか?
へえ、「石の彫刻」ねえ...石貨のことを言ってるのだけど、実はこのミル・チャネルの海中石貨、2つ上の写真のクリーニング・ステーションのそばに設置してあり、昔から、いろんな番組に登場してマス(笑)。

a0043520_0413853.jpga0043520_0423040.jpg
で、この番組に出てくる2つの海中石貨を仔細にチェックすると...
右上のは通常の設置位置で撮った画デスネ。もともと、この石貨はミル・チャネルの違う場所にあったものだけど、ずいぶん前にヤップのあるダイビング・サービスが、ダイバーが見やすいよう、この場所に移したものなのだ。
それで、ひとつ上の、マンタも写りこんでいる画の石貨をよく分析してみると(写真左上)、ななななな~んと、右上の石貨を裏返して置いただけだというようにも見えるが(笑)。他所んちの海中に設置してあるものを、勝手に移動させて画を撮るってことは、しないですよね、いくらなんでも>>テレビマン・ユニオンさん&水中撮影担当の越智隆治さん!!(←はじめ、お名前の表記を間違っててゴメンナサイ)

(追記1)
水中カメラマンの越智隆冶さんから直接ご連絡をいただきました。左上の石貨は水深25mにある別の石貨だとのこと。あそこの石貨でこんなにマンタのからみが撮れたのなら、すごいですねえ、越智さん!あそこの石貨はもう長いこと見てないし写真もストックしてないので、今度行って写真を撮ってきて検証します。続編乞うご期待!


やがて番組の画は陸上に移り、ヤップの石貨の由来を説明するわけだが...
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はあああ?大理石デスカ?どこのガイドブックを見ても、ヤップの石貨はフツー、パラオ産のライムストーン(石灰石)だと紹介されているけどね。大理石じゃマーブルでライムストーンじゃないし... まあ大理石も石灰岩が熱変成してできたものだから、当たらずとも遠からずではあるけれど、ところでパラオって大理石が採れたっけ?(笑)

a0043520_0544151.jpg←このスタジオMCのオッサンも(名前忘れました)、石橋奈美やナレーション同様、それが脚本だとはいえ、よくもまあ、見てきたような嘘を平気で述べ立てておられます。さて...
ナレーション:太平洋の島々に暮らす人々は、3000年以上前、アジアから大海原を旅したといわれている。だが、今では遠洋を旅した航海の技術は失われ、それがどのように行われたのか、謎とされてきた。ところが、その航海技術が、このヤップ島周辺にだけ、奇跡的に残されていたのだ。
別に謎なんぞじゃないっつーの。この番組のもうひとつの大きな問題は、ヤップ州離島のことと、ヤップ島のことをまぜこぜにして、現地の人々や文化を軽視し、日本の視聴者を惑わす編集なのである。

東西1000キロ以上もの広大な海域を占めるヤップ州には、少なくとも4つの主だった言語とそれにともなう文化がある。とくにヤップ島と、その他のヤップ州離島の言葉や文化は、たとえて言うなら日本語と朝鮮語くらいの違いがあるわけだ。外国のテレビ局が日本にやってきて、日本人と朝鮮人の出演協力者を得ながら、双方の文化を勝手にまぜこぜにして、まことしやかに大嘘を語る図を、想像してもらいたい(怒)。

a0043520_0555471.jpg取材は去年の4月、たったの7日間だった(それでも昨今のテレビ取材の中では長いほうだけど)が、そのすべてはヤップ島で行われた。しかし、そこに動員されたローカルの協力者たちはヤップ島人だけでなく、ヤップ州の他の島から来ている、文化も言葉もヤップ島人とは異なる人たちも混じっていた。それなのに、番組では彼らの文化や言葉の違いどころか、それぞれの島の名前すら説明しない。
石橋奈美:実は近年、このときに使われた航海技術にこそ、人類が行った大冒険の謎をとく鍵が隠されていることがわかったのです。
実態の伴わない空虚なコトバの氾濫が今の日本の特徴だけれど、このセリフもそのひとつだね。地球上の人類は、それが海であれ陸であれ、広大な地域を渡るためのナビゲーション技術を、みんなそれぞれ持っていただろうということくらい、ちょっと考えれば想像できることじゃないか。

ところで、ヤップ島の陸地の近くを走る船の上で、この画のように女が立ち上がるのは、ヤップではとってもお行儀の悪いことだとみなされる。たとえば、うちのボートでわたしがそれをやったら、番頭のチョメシット・ダウン!と叱られちゃうよ(笑)。

a0043520_051918.jpgさて、やがて番組の画は、ヤップ州の中心地、コロニアを映し出した。←この交差点は、わたしが勝手にヤップの大手町交差点といっている場所だけど、右手の(これもわたしの呼称で)晴海通りの先にうちの店はあるわけで...(そんなこたあ、ここでは、どーでもいいって-笑)。

a0043520_0501625.jpgそれでまあ、この美しくも静かなコロニアのラグーンを望みながら、石橋奈美はこうのたまった:
石橋奈美:しかし、すこし町を離れると、うっそうとしたジャングルが生い茂る光景に変わります。
そして、いきなり画は↓こちら↓に切り替わるわけだが:

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この↑どちらの場所↑も、コロニアから車で30分くらい離れたところだけれど、実は、これらの画に写っている道のすぐそばまで、舗装道路が通っているわけで(爆)。この部分は視聴者にはけっこう印象的だったようで、あの番組を見た人がのちにヤップに来て、島の北から南まで舗装道路が走っていることに驚いていた。ヤップを原始的で未開な土地として宣伝することで、誰が得するのデセウカ?

a0043520_0575330.jpgこんなデタラメ番組のストーリーも、いよいよヤップの石貨へと移っていき...
石橋奈美:なんとこれらは、世界でもここだけで今も通用する石の貨幣、石貨なんです。まさに現存する世界最大のコイン
オイオイオイオ~イ、ヤップの石貨は、貨幣でもコインでもないってば(怒)。石貨をはじめとするヤップの伝統的なモノは、人と人の絆を結ぶツールであって、貨幣やコインではない~~~!のです!!!

a0043520_1241441.jpg貨幣経済でしかモノゴトを図れない発想では、こういうヤップの伝統的なモノと、小さなコミュニティ同士の共生社会のシステムは、とうてい理解できるものではないだろう。しかし、これを理解して説明できなかったら、ヤップ島のツアー・ガイドとしては失格です。

a0043520_2571051.jpgところで、この撮影をした場所は、マキ村の集会場(ペバイ)。現在そこには建物はないが、ヤップの村にとっては建物がなくても集会をする場所(ペバイ)であることに変わりない。ヤップの村の集会場(ペバイ)は、日本では村の公民館のようなもので、どの公民館にも舞台があるように、ヤップの公民館にも必ず舞台(マラル)があって、そこに石貨が飾ってあるわけなのだ。
石橋奈美:ここは石貨銀行と呼ばれる石のお金を保管するための場所、村ごとにこのような場所があるそうです。
前にも書いたように、ヤップの伝統的なモノは貨幣ではないのだから、そもそも石貨銀行なんてのがあるわけがない。石貨銀行/ストーンマネーバンクというのは、外国人が勝手にそう呼び始めただけで、この場所はヤップではマラルと呼ばれる、村の公民館の舞台なのデス。

a0043520_0584994.jpgところで、←こういう風に石貨の穴から顔を覗かせている画は、よくツーリストも好んで用いる構図なのだけど、由緒正しく育ったヤップ人にとっては、あまり良い気持のしない(お行儀の悪い)眺めらしい。今は昔、わたしもこういう画を雑誌記者に撮らせたことがあって、あとでパートナーにこっぴどく叱られたっけなあ...

それにしても、↓こういう統一されない表記↓、画をつくってて、恥ずかしくないのですかねえ...?
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ヤップの石貨は、島の東半分ではライと呼ばれ、西側地区ではフェと呼ばれるが、まあ一方だけでも、↑ここ↑ではヤップ語を使っておきながら、
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↑こっち↑では、石貨銀行(ストーンマネーバンク)だなんて...(笑)

セリフ書いたヒトにも、しゃべってるヒトにも、画を撮った連中にも、結局、ヤップのこと何もわかっていなかったんだろうネッ(怒)。ところで、マキ村の人に聞いたところ、このグループ、この村に撮影で入ることを断っておらず、一般ツーリストとして入域しながら、これだけの画を撮っていったようなのだ。それだけでも、とんでもなく失礼なことなのに、こんなに長いカットを使いながら、番組ではマキ村の名前すら紹介していない。

ところが、マキ村のすぐ次のシーンに、一瞬だけ(1秒以内)挿入された↓この画↓(あまりにも時間が短いので、キャプチャーするのに苦労しました)に、石橋奈美のセリフがかぶる:
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石橋奈美:私たちが訪れたワニヤン村の石貨銀行は、普段公開されていませんが、今回特別に、取材を許可されました。はたして石貨はどんな風に使われているのか、ワニヤン村の長老の方々にお話を伺いました。
この目にも止まらない短いシーンとセリフのお陰で、視聴者はそれまで見てきた石貨がすべてワニヤン村のものだと誤解してしまうだろう。マキ村はわたしがヤップ縄文村と呼んでいるほどヤップの古い歴史を持つ村であるが、ある時点でワニヤン村など東側の勢力に圧倒されて負け組に転じた。そういう背景を持つマキ村の人がこの画の扱いを見れば、どんなに悔しい思いをするか、想像してみて欲しい。この番組は、ヤップ島内においても、それぞれの村の人々や文化を軽視し、日本の視聴者を惑わす編集をしているのだ。

ところで、石橋奈美は「普段公開されてない」といってるが、ワニヤン村の集会場(ペバイ)は、誰にでも見える道端に建っているわけで、ワニヤン・ビーチに行くツーリストにも丸見えですが...(爆)。ご覧のようにトタン屋根のコンクリート造りなので、ふつうそこまでしないけれど、ツアー・ガイドを通せば、ツーリストだって写真を撮らせてもらうことはできる。なんでこんなところまで、「わたしたちだけ」を強調して視聴者を騙したいのかしら?これも「世界ふしぎ発見!」のコマッタ特徴のひとつだね。

a0043520_1252846.jpgさて、シーンはワニヤン村の男の家(ファルー)の前に集まった年配のおじさんたちに移り、この番組のもうひとつの大きな問題が炸裂していく。すなわち、現地の出演者の音声をすべて消し、番組にとって都合の良い日本語のセリフに吹き替えるという暴挙。

こういうやり方は、これの2年ほど前にヤップに来た下らんバラエティでも見たことがあって、そのときもわたしは怒り狂ったのだけど、この日本語吹き替えセリフ、ヤップ・ロケに来る前から、脚本(ホン)が出来上がってるってわけなんですよ(怒)。だから、ここでヤップのオッサンたちが日本語でしゃべった言葉を、ぜったいにそのまま受け取らないでいただきたい。たとえば、
石のお金は伝統的な行事のときの支払いなどに使われるんだ
とか、
石貨は村の建物を建てるときに支払うお礼や、カヌーを買うときなどに使うんだよ。たとえば外洋航海用の大型のカヌーだと、価値のある石貨なら2枚は必要だね
とかいうのも、「世界ふしぎ発見!」が勝手につくった吹き替えのセリフであって、ヤップ人がしゃべった内容とは大違いなのだ。

実はこのブログを書く前、わたしはこの番組のナレーションとしゃべりを全部書き出し、英語の全翻訳もつけて、この番組に登場している主だった人たちにDVDといっしょに配ってまわった。驚いたことに、ローカル協力者の誰ひとりとして、番組放映後のビデオすら見せてもらっていなかった。日本のテレビ番組のほとんどが、そういう撮りっぱなしを平気でやるのだ。

わたしが配ったDVDと翻訳を見ての感想は、オレの声、こんなに老けてないぞと気分を害したヒトも含めて、自分の言葉が消されて変な内容の日本語になってしまっていることに、みんな後味の悪い思いをしているようだ。


まだまだ続きます。
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TBS「日立世界ふしぎ発見!」ヤラセ大爆発のヤップ編・その弐
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by suyap | 2009-09-15 23:19 | ヤップと日本のメディア
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