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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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デング熱の話

a0043520_23454226.jpgちょっと忙しくしていて、落ち着いて新しい記事を書く時間をなかなか持てなかった。せいぜい前記事についてる嫌がらせTBとコメントを定期的に掃除するのが精一杯の状態だったけど、これも想定内のことだから楽しんでやってた(笑)。それにしても「被害者」とか「女子高校生」とかいうだけで同情(したふり)をしなきゃならない雰囲気の今のニホンて、おかしいと思う。誰でも何かの被害者になる可能性があり、同時に加害者になる可能性もあることを考えれば、「被害者」であることだけを振りかざすのはエゴ以外のなにものでもない。そうすることによって本人の精神的成長もそこで止まってしまうし、事象の根源を見通す努力を放棄してしまう。そんな浅薄な世論の陰で笑うのは誰だろうか?

それはさておき、今回はヤップで少し流行っているデング熱のことを書いておきたい。このことをあまり公言したくない観光業者がヤップにもいるようだけれど、いまやデング熱は世界中の熱帯~亜熱帯地域に蔓延している病気だし、旅行者ひとりひとりがちゃんとした知識を持って感染を予防し、万一症状が出たときも適切な対応ができるようになっておくのも大切なことだ。

4月から6月にかけてヤップで流行ったジカ熱は7月には収束したが、同月に今度はデング熱らしい症状を訴えるケースが3例見つかった。しかしそれ以上は広がらず8月はゼロ・ケース。ところが9月に入って毎週、複数のケースが発生するようになり、それが徐々に増加してきた。そこで先週ついに、ヤップ州立病院のロビーにもデング熱掲示板が置かれるようになった(写真左上)。

a0043520_23462388.jpgデング熱は、ネッタイシマカヒトスジシマカが媒介するウイルスに感染することによって起きる病気で、非常な高熱と頭痛、関節痛、筋肉痛、疲労感などの症状がでる。現在わかっているデング・ウイルスには4種類あり、感染するとそれぞれのタイプごとに一生免疫ができる。ヤップでは3年前に1型の大流行、2年前に4型の小流行をみたが、現在ヤップで流行っているのは2型なのだそうだ。だから以前に1型や4型に感染した人でも、今回の2型には免疫がないから気をつける必要がある。

ヤップの隣にあるパラオでは、今年6月ころから2型のデング熱がかなり流行しているので、今回の感染経路もパラオからとみられている。右上のチャートはヤップの患者分布図で、オレンジ色は血液検査で2型とはっきりわかったケース、緑色はデング熱の抗体は見つかったけれど(おそらく検査した時期が遅くて)型まで分析できなかったケース、赤色は出血熱までいったケース。患者の分布が島の東側に偏っているのは、今年は多雨で湿度が高いうえ、ずっと南西の風が続いており、山に風を遮られた島の東側で特に風のないむっとする日和が多かったせいか-とわたしなりに分析している。デング熱を媒介するのは、いわゆるヤブ蚊のネッタイシマカヒトスジシマカだけれど、彼らは風が吹き抜けるところでは飛ばない。ヤップも来月に入ると貿易風が強まるので、今回のデング熱流行も、この先そんなに長くは続かないだろうと思われる。

※この記事の最後にデング熱(Dengue Fever)関連情報をリンクしてあります。

a0043520_2347394.jpg←こちらのチャートは、病院が把握した7月からの患者数を時系列で棒グラフにしたもの。先週末までの15週間で45ケースを記録している。感染してても症状が出ない人や軽い人は病院に来ないので、実際の感染者はこの何倍もいると想定される。9月後半からのコンスタントな患者数の増加、とくに10月第1週の急激な増加に病院では警戒感を強めて、デング熱情報の普及と予防措置の徹底にのりだした。

a0043520_23481785.jpg掲示板に出ていた蚊のライフ・サイクル。ネッタイシマカヒトスジシマカは「家のまわり」のちょっとした水たまりに卵を産み、それは1週間ちょっとで成虫になる。デング熱のひとつの予防法は、家のまわりから「水たまり」を無くすことだ。といっても、転がっているココヤシの実の殻やバケツにちょこっとたまった雨水にもすぐに卵を産むので、1週間に1度は家周りをチェックして水溜りをなくす必要がある。

いちばん効果的な予防法は、蚊に刺されないこと。モノの良し悪しは別にして、虫除けローションをたっぷりぬっておくと、ほんとうに蚊は寄ってこなくなる。あと部屋の戸を不用意に開け放たないことも大切だ。ヤップのホテルの窓にはほとんど防虫ネットがはってあるので、冷房が嫌な人は窓を開けて風を入れることができるけど、防虫ネットまで開けてしまわないように。夕方には部屋の中で蚊取り線香を焚いて、蚊を入れないようにするのも良い。ネッタイシマカヒトスジシマカの活動時間帯は日中とくに朝夕の風が止むころで、夜間は飛んでこない。だから夜寝ている間に刺される心配はまずない。

a0043520_23525264.jpg左の写真は顕微鏡でみたデング・ウィルス。なんだかコンペイトウみたい。わたしも3年前に1型のデング熱を経験したけれど、とにかく高熱が出て、体中を得体のしれない「異質な物体」に占拠されてしまったような感覚にとらわれた。こいつだったのか...

デング熱の流行っている地域に旅行して数日以内に突然の高熱に襲われたら、いちおうデング熱も疑ったほうがいい。症状が出たら:
①安静にして
②まわりにウイルスを振りまかないように自身にも虫除けローションをしっかり塗って
③できるだけ経口でも水分の補給に努め
④早めに受診して(点滴などで)体液管理をしてもらう

ことが大切。自分で解熱剤などを勝手に服用するのは危険だ。アスピリンなど血液溶解を高める解熱剤は、出血熱を招くおそれがある。

典型的なケースでは、デング・ウイルスが体を駆け巡っているのを感じながら数日ゴロゴロしていると、発症して3日から4日目あたりを峠に、やっと自分の白血球防衛隊が優勢になってくるのを感じることができるようになる。5目にはかなり熱が下がり6日目には平熱から微熱程度、7日目にはほぼ回復、といった感じ。その人の免疫能力によって、ウイルスに感染しても全く症状が出なかったり、出ても上記のプロセスを最短でクリアしたり、逆に長引かせたり、たまに出血熱までいってしまったりもする。体が快方にむかって2日後からは、その人から感染が広がる恐れはなくなる。

こんなことを書くとまた誤解を招くかもしれないが、デング熱が怖いとか〇〇病が怖いとかいう前に、まず自分の体を免疫力の高いものに作り上げることが大切だと思う。その方法は全く簡単、甘いものと肉食や添加物食(コンビニ系もね)を避け、ビタミン・ミネラル豊富な野菜とあまり精白してない穀物・炭水化物をよく噛んで食べるだけ。そしてデング熱のように感染の仕組みがわかっているものには、特定の蚊に刺されないようにするとか、いろいろ有効な対策も打てる。

それでも病気になったら、免疫力を向上させるための努力を怠ったことをまず自分の体に詫び(笑)、それから白血球防衛隊を心から応援してあげること。デング熱にかかって、それを蚊のせいにしたり、ヤップのせいにしたり(笑)、旅行会社のせいにしても、何の解決にもならない。ヤップを含めて伝染地域への旅行を取りやめても、あちこちでデング熱に感染して日本に帰ってくる旅行者は増えているし、媒介するヒトスジシマカは日本にもいるから、夏場の蒸し暑い季節には日本で伝染することだってあるわけだ。

そういうことを考えると、免疫能力を高めて軽い感染で自分の体に早めに抗体をつくり、デング熱フリーな体にしておくのも手かもしれない。これはデング熱だけでなく感染性のすべての病気にいえることで、そもそもバイ菌やウイルスが悪いのではなくて、それらの異物が入っても抵抗する力のない体のほうをなんとかしなけりゃならないのだ、ほんとうは。バイ菌やウイルスを抹殺せず、それらと共生できる体の環境をもつことの大事さに気づけば、人間の社会も再び多種多様な「他人」との共生をめざせるようになると思ったりもしている。



デング熱について:
外務省>渡航関連情報>在外公館医務官情報>各論3 デング熱
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/kakuron03.html
厚生労働省検疫所FORTH:デング熱
http://www.forth.go.jp/tourist/kansen/09_dengu.html
デング熱の話
http://www7a.biglobe.ne.jp/~doctorn/hakajyo/dengue.html

関連記事:
再びデング熱?
http://suyap.exblog.jp/5743662
流行病の正体
http://suyap.exblog.jp/5781537
ヤップのジカ熱(ジカ・フィーバー/zika fever)について
http://suyap.exblog.jp/5837248



最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2007-10-19 23:34 | ヤップな日々
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