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ミクロネシアの小さな島・ヤップより
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光市(母子殺害)事件 - たくさん追記あり -
いまはインターネットという便利なものがあるので、ヤップにいても世界のニュースを瞬時に知ることができるが、その情報の取捨選択というか、何に関心をもって見にいくかは自分の側にある。ところが、日本などの「いわゆるマス・メディア」が発達した国では、好むと好まざるとにかかわらず、情報が垂れ流され耳や目に押し寄せており、その情報によって人々の考え方や判断が大きく左右されている。そして、その「いわゆるマス・メディア」が垂れ流す情報のかなりの部分が、ある意図をもって操作されているであろうことは、外から(垂れ流しの喧騒から一歩離れて)見ているとよくわかる。

そういう例の顕著なもののひとつが、山口県の光市わたしはこの土地の海で初めて泳ぎを覚えた。とっくの昔に姿を消してしまった、あの美しい松原海岸が懐かしいで起きた事件(光市事件)をめぐる「いわゆるマス・メディア」の喧騒ぶりと、それに左右されて「あんな奴は死刑にして当然だ」という世論の横行、それに加害者ならびに弁護人への異常なバッシングである。

ヤップにいるわたしが見に行く日本のニュースは政治情勢や国際関係が主で、事件・事故など社会面の記事は余程のことでない限りまず読まない。だから「光市事件」の流れを自分でしっかり追ってみたのは、この事件がよくブログネタになったりし始めた最近になってからで、更にわたしが書いたきっこさん、「死刑廃止論を廃止しろ!」について再考をお願いしますという記事にたいして、執拗な嫌がらせTBが毎日100以上合計400近く(定時に4個ずつ送られている)貼られるようになったので、あらためてその経緯を追ってみた。それで、この事件に関して一般に明らかになっている事実関係だけを見ても、わたしにはどうしてこれが死刑に相当するのか、まったく理解できない。

もし被害者の遺族の映像や、タレント弁護士の奇妙な弁舌が一方的かつ圧倒的にメディアで流されるということがなかったら、この事件に対する世論の反応はずいぶん違っていただろう。こんなことで「世論」が動かされ、裁判の結果に影響を与えるようでは、2009年から導入される予定になっている裁判員制度が始まったら、日本の裁判の公平性はますます後退してしまう。どう見ても不自然な検察側のリークやマスコミの騒ぎ方を観察していると、もしかしてこれは、裁判員制度の導入に向けた警察&検察によるマスコミを使った大衆心理の掌握実験かもしれない...とまで思ってしまうのだ。

(追記)
この事件と橋下徹弁護士について、同じく弁護士である津久井進さんが、とてもわかりやすい記事を書いておられます。そこにリンクされた記事とコメントもしっかり読めば、マスコミで煽り立てられている内容とは全く違った様相が見えてきます。
津久井進の弁護士ノート:橋下徹さんにポピュリズムの危うさを感じる
http://tukui.blog55.fc2.com/blog-entry-487.html
ちなみに光事件弁護団が作成した光事件Q&A(弁護団への疑問に答える)という冊子を、情報流通促進計画 のヤメ記者弁護士ヤメ蚊さんが紹介してくださっているので、わざわざ読みにいく暇のない人のために下にコピペしておいた。でも、できたらヤメ蚊さんの記事を読みに行ってこれにコメントしているゴンベイさんと美爾依さんの記事も一緒にぜひ読んでみてください!

(追記の追記9/26/07)
以下のサイトも、この事件を考える上では必読です。
〇今枝仁弁護士のブログ:
弁護士・未熟な人間・今枝仁・・・光市事件と刑事弁護の理解のために
http://beauty.geocities.yahoo.co.jp/gl/imajin28490

光市事件懲戒請求扇動問題 弁護団広報ページ
http://wiki.livedoor.jp/keiben/d/FrontPage
また、裁判員制度については、こちらのブログをどうぞ:
言の葉工房:裁判員制度の実態
http://hizjihizji.blog85.fc2.com/blog-entry-345.html
(追記の追記の追記1/29/08)
ゴンベイさんから江川詔子さんの記事を紹介されました。被害者遺族の本村洋さんのお話がまとめられています。これを読むとメディアで見る本村さん像がいかに「つくり上げられた」ものであるか、よくわかります。
本村洋さんのお話を聞いて
http://www.egawashoko.com/c011/000241.html
それでは、以後続きを...

光事件Q&A~弁護団への疑問に答える~光事件弁護団
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/
0d076757138bc3e15ad60a04b184e8e4
■■引用開始■■

 光事件については,マスコミを通じ,またインターネット上で,弁護団に対する様々な非難が加えられています。その中には,正確な事実を踏まえないか,誤解に基づくものがあります。
 そこで,皆さんに正確な理解をしていただくため,弁護団に対して寄せられた疑問に答えたいと思います。

1 経過について

Q 光事件の経過について教えて下さい。
A 平成11年4月14日に,山口県光市で発生した事件です。
  検察官の起訴事実によれば,被告人は(18歳)は,被害者を強姦しようと計画し,被害者宅に排水検査を装って入り,暴行を加えたものの,被害者が大声を出して激しく抵抗したため,殺害して姦淫しようと決産し,被害者の首を両手で強く絞めつけて窒息死させたうえ,姦淫した,その際,激しく泣き続ける被害児(生後11ヶ月)に激昂して殺害を決意し,被害児を床に叩きつけるなどした上り首に紐を巻き,その両端を強く引っ張って絞めつけて窒息死させた,とされています。

Q 裁判ほどのように進んできましたか。
A 被告人は平成11年4月18日に逮捕され,平成11年6月 4日,山口家裁での少年審判で逆送決定を受けました。この事件の裁判は,平成11年6月11日に起訴され,第1審(山口地裁平成12年3月22日),第2 審(広島高裁平成14年3月14日)は,この起訴事実を前提に,いずれも無期懲役を言い渡しました。しかしこれに対して検察官から上告がなされ,最高裁判所は,平成18年6月20日,原判決を破棄し,広島高裁に差し戻しました。
 現在,広島高裁でこの事件の審理が行われています。平成19年5月24日に第1回公判がはじまり,6月26日から28日,7月24日から26日に公判が連続開廷され,9月18日から20日までさらに開かれる予定です。


2 差戻審の弁護団の主張についての疑問

Q 差戻審の第1回の公判での弁護団の意見が反響をよんでいますが,弁護団の差戻審での主張はどのようなものですか。
A これは典型的な少年事件であり,著しく精神的に未発達な被告人がもたらした偶発的な事件です。
 検察官が主張するような,強姦目的で被害者宅に上がり込んで襲ったものではありません。
被害者ののど仏付近を両親指で力一杯押さえつけて首を絞めつけるといったこともなく,被害児を頭上から逆さまにして床にたたきつけたこともありません。法医鑑定の結果からは,このような事実は認められません。

Q 何が起きたのですか。
A 被告人は,入社したばかりなのに,この日も会社を休んでしまいました。そして,仕事をしているふりをしようと戸別訪問をすることにしました。被告人は,会社のネーム入りの作業着を着て,さらに会社名まで名乗って各室を訪問していました。
 被害者から,部屋に招き入れられ,言葉をかけられたことから,亡くした母親に甘える思いで被害者に背後からそっと抱きついたところ,被害者から,まったく予想外の激しい抵抗を受けてパニック状態に陥り,被害者を制止しようとして誤って被害者を死に至らしめました。被告人は,被害者が大声をあげたので声を封じるため口に片手を当てたとしていますが,その手がずれて首を圧迫したとすると,それは遺体に実際に残された指による蒼白帯と合致します。
 また,被害児に対しては,泣きやませようとして懸命にあやすものの泣きやませることができずに困惑し,パニック状態から,遂に首に紐を緩く巻いて喋々結びにし,その結果,被害児を死に至らしめました。したがって,被害者や被害児に対する殺意は存在しません。

Q どうしてこのような事件が起きたのですか。
A そのためには,被告人について理解する必要があります。被告人の父親は,母親を虐待し,それを止めようとする被告人も暴行を受けていました。母子は父親の虐待をおそれ,それから逃れながら共依存関係にありました。そして母親が自殺をしたため,被告人は母親の死を十分に受け止めきれないまま取り残され, 精神的外傷を負ったまま,その精神的発達は母親の自殺の時点に停留しています。

Q これまでの1審・2審で主張していなかった事実を差戻審で主張することは許されるのですか。
A 法律上許されています。

Q 検察官の起訴事実や旧裁判所の認定は,どんな証拠に基づいているのですか。
A 検察官の起訴事実や旧裁判所の認定を支えている主な証拠は,被告人の自白調書です。しかし,この被告人の自由は,取調官による作為や強要に基づくものばかりであり,同時に少年特有の取調官への迎合といった顕著な事情が垣間見れらるものであります。したがって,被告人の自白調書は,真実を語っておらず, 信用性がありません。

Q 弁護団の主張は,どんな証拠に基づいているのですか。
A 弁護団の主張は,主なものだけ挙げると,
 ① 被害者の死体の痕跡についての法医鑑定です。原審が認定したような態様で両手で絞殺されたのではなく,現在被告人が述べるような態様で右逆手で首を押さえつけられた状態で死に至ったという内容です。
 ② 被害児の死体の痕跡についての法医鑑定です。被告人が被害児を後頭部から床に叩きつけたという行為は無く,紐で首を力一杯絞めたという事実も無かったという内容です。
 ③ 被告人について実施した犯罪心理鑑定と精神鑑定です。これらは,私たち弁護人が就任する前,すでに実施されていた少年鑑別所の鑑別結果や家裁調査官の調査報告書とも合致するものです。犯罪心理鑑定によれば,本件は被告人の生育過程による未成熟な人格が引き起こした母胎回帰ストーリーとして理解するのが自然であり,原審が認定した性暴力ストーリーでは理解できません。また,精神鑑定によれば,被告人の本件当時の精神状態は,母親が自殺した12歳のときのまま発達していないということです。
 ④ 差戻し前の被告人の公判供述です。被告人は差戻し前には公訴事実を争っていないとされていますが,実際にはこれら公判供述においては,強姦相手の物色や殺意を否認するような供述もあります。

Q 被告人の新供述は弁護団のストーリーを言わされているという見方がありますが。
A そうではありません。
  被告人が記憶に基づいて供述しています。公判段階の供述や家裁の社会記録の中にも,今回の供述の片鱗が見受けられます。

Q 被告人は,強姦目的で,被害者のアパートをうろうろしたのですか。
A そうではありません。
  被告人は“入社したばかりなのに,この日も会社を休んでしまいました。そして人恋しさと寂しさをまぎらわすために,仕事をしているふりをしようと戸別訪問をすることにしたのです。
  被告人は,会社のネーム入りの作業着を着て,さらに会社名まで名乗って各室を訪問していました。検察官は,相手を物色していたと主張していますが,父親が被害者の夫と同じ会社に勤めていた関係で,現場は,被告人も住む社宅の別棟の一室であり,友人との待ち合わせまでのわずかな時間の出来事ですから,そのような場所で計画的に強姦をしようとしたはずがありません。

Q 被害者宅に至るまでの戸別訪問では被告人に対しどのような対応がなされたのでしょうが。
A それまでの戸別訪問では,ぎこちない被告人の行動に対してまともに取り合った人はいませんでした。被害者が初めて取り合ってくれたのです。

Q 被害者はどのような対応をされたのですか。
A 被害児を抱いた被害者は,被告人が作業をしに来たと誤解し,被告人を優しく中に入れてくれました。この予想外の対応に,被告人は引っ込みがつかなくなってしまいました。

Q 被告人は,強姦目的で,被害者宅に上がり込んだのですか。
A 今述べましたように,そうではありません。

Q 被害者は被告人に殺意をもって殺されたのですか。
A そうではありません。
  被告人は殺意をもっていませんでした。
  被告人は,優しく応対してくれた被害者に,失った実母の面影を感じ,甘えさせてほしい,優しくしてほしいという気持から,後ろからそっと抱きつきました。ところが,被害者から予想外に激しい抵抗を受け,被告人は,なんとかしなければと必死に押さえつけているうちに,意図せずに右手で被害者の首を押さえてしまい,被害者を窒息死させてしまったものです。

Q 被害者は,被告人に強姦されたのですか。
A そうではありません。
  たしかに被害者を死姦したことに争いはありません。
  しかし,被害者の死は,被告人にとって,母親の死の状況を思い起こさせるものでした。母親の死のときには何もできなかった被告人は,母親を何とか復活させたいと考えました。そのために被告人が考えついた儀式が性交だったのです。
  精神的に未発達な被告人は,「性交することで再生する」と思いこんでいました。当初の鑑別結果でも,同様の記述が見られます。

Q 弁護団は,見ず知らずの女性を殺害強姦したことを「死者を復活させる儀式」と主張していますか。
A すでに述べましたとおり,被告人には殺意も強姦の意図もありませんでした。
 被害者に対する死姦は,被告人にとっては,母親の復活への儀式であったのです。

Q 「母胎回帰」「母子一体」ということを言われていますが,どんなことですか。
A 当時の被告人の人格は著しく幼い状態でした。被告人は,幼い頃から父親の激しい暴力にさらされてきました。被告人は,その恐怖の中で,精神的に抑圧されて育ち,母親と依存状態(一体感)を強めました。ところが父親の暴力は母親に対しても激しく加えられ,母親は,被告人が中学校1年生のときに首を吊って自殺しました。被告人は,母親という唯一の庇護者を失い,父親の支配に直接さらされることになり,精神的に発達する機会を失いました。
  母胎回帰とか母子一体というのは,被告人が在りし日の母子依存,お母さんに甘えたい,永遠に一緒にいたい,お母さんから愛され受け入れられたいという心情をずっと維持したいという状況を意味しております。

Q 被害児は頭から思い切り床に叩き付けられているのですか。
A そのようなことはありません。
 捜査機関がそのような自白調書を創作したにすぎません。法医鑑定によれば,被害児の頭部には頭蓋骨骨折等の痕跡は無く,後頭部から床に叩きつけられたという事実は否定されます。

Q 弁護団は,被害児を床にたたきつけたのは「ままごと遊び」と主張していますか。
A 弁護団が「ままごと遊び」と述べたのは,被告人の戸別訪問行為です。本件行為に先立ち,被告人は,当時勤めていた会社のネーム入り作業服を着て,さらに会社名まで名乗って各室を訪問していました。
  被害者を死に至らせた行為,被害児を死に至らせた行為を「ままごと遊び」と主張したことは一度もありません。

Q 被害者を仰向けにして頚部を両手で絞めつけたのですか。
A そのようなことはしていません。
 被害者の死体の痕跡に基づく法医鑑定によれば,そのような事実は否定されています。

Q 被害児は紐で何をされたのですか。
A 被害児の首に紐が2重に巻き付き,ちょうちょう結びされていたことは事実です。しかし,被告人は捜査官に言われてはじめて,被害児の首に紐が巻き付けられたことを知りました。気が動転していた被告人は,被害児の首に紐を 2重巻きした行為を記憶していません。

Q 被害児を動けないようにして紐で絞めたのですか。
A 被告人は,そのような行為をした記憶はありません。被害児の死体についての法医鑑定によれば,検察官が主張するように紐を力一杯絞めた事実は否定されます。

Q 被害児の首を紐で絞めあげたのは「謝罪のつもりのちょうちよう結び」と主張していますか。
A 被告人も弁護人も「謝罪のつもりのちょうちょう結び」とは主張していません。弁護人は,泣き悲しむ弟への兄ができるせめてもの償いの印であったのではないかと見ています。
  もっとも,被告人自身は,被害児の首を紐で絞めた事実については記憶しておらず,法医鑑定によれば,力一杯に絞めた事実はありません。


3 弁護団についての疑問
Q 21名の弁護士は,どうして弁護人になったのですか。
A きっかけは様々ですが,各自が自主的に判断して参加したものです。

Q どうして21名という大弁護団になったのですか。
A 21名となった経緯は上述のとおりです。しかし,それでも決して多くはないと考えています。
 上告審弁護人が事実解明の必要性を訴えたにもかかわらず,最高裁判所は,それを吟味しようともせず,検察官による上告を受け入れ破棄差戻しをしました。また,被害者遺族の厳罰を求める訴えや,それに同情する国民世論の凄まじさがこの最高裁の判断に少なからず影響を与えたことは否定できない事実でした。したがって,差戻審では,最高裁の意を受け,事実解明がなされることなく形だけの審理がなされるおそれが予想されました。
 そのような中で,これまで全くなされていなかった法医鑑定,犯罪心理鑑定,精神鑑定などにより,真実を解明することは大変な作業なのです。

Q マスコミでは,21名の弁護人対被害者遺族という図式で報道されていますが,これについてどのように思いますか。
A 私たちが求めているのは,事実に基づく公正な裁判です。被害者との対立構造を煽る報道は残念です。

Q 21名の弁護人には,全国の弁護士,例えば札幌や仙台などの弁護士がいるようですが,21名の弁護人はすべて実働しているのですか。
A はい,そのとおりです。

Q どのように弁護団の費用を調達しているのですか。
A 弁護人が各自で負担しているほか,不足分は,弁護団以外の弁護士から,カンパを受けてまかなっている現状です

Q 21名の弁護士は,ボランティアですか。
A 無報酬で働くことをボランティアと言うのであれば,本件については全員ボランティアです。

Q どうしてボランティアまでして,被告人を弁護をするのですか。
A 本件事件につき十分な弁護がなされる必要性を認識し,弁護士の職責から,報酬の有無にかかわらず本件の弁護に従事すべきという考えからです。
 なお,弁護士活動には幅広い分野があり,弁護士会の委員会活動はもちろんのこと,それ以外にも,弁護士が無報酬で活動する機会は限りなく多く,刑事弁護においても例外ではありませんので,本件にのみ特殊な事情ではありません。

Q 死刑廃止の運動のためにしているのですか
A 本件刑事弁護は,死刑廃止の運動のためにしているのではありません。弁護団は,本件の弁護活動において死刑廃止の主張をしたこともありません。

Q 21名の弁護人は死刑廃止論者ですか。
A そうではありません。廃止論者も存置論者もいます。また,死刑制度の問題点について国民的議論が尽くされるまでは死刑の執行を停止すべきであるという考えの弁護士もいれば,死刑の適用範囲について謙抑的であるべきという考えの弁護士もいます。

Q どうして差戻し前の弁護人は,最高裁までの7年間も,差戻審の弁護団のような主張をしなかったのですか。
A 私たちは,回答すべき立場にはありません。私たちが言えることは,これまでの裁判において審理が不十分であったということだけです。


4 被告人の態度への疑問

Q 被告人の態度が悪いといわれていますが,被告人は,差戻審前に被害者や遺族を侮辱したことがありませんでしたか。
A 通常の少年事件の場合,その少年の精神的な未成熟性を考慮して,専門的な知見に基づき処遇する中で,少年も事件に向き合い,被害者遺族や被害者に対する順罪の意識が真に根付いて,更生へと至るものなのです。
  しかし,被告人の場合は,犯行当時の人格特性や精神的に未発達な状況のまま放置されており,また,更生に向けての処遇などは一切なされていません。自己の行為に直面し,自分がどういう生い立ちをし,何を課題として抱えているのか,あるいは解決していないのかを,丁寧に寄り添いながら処遇されなければならないところ,そのようなことが全くなされてはいませんでした。
  したがって,被告人自身が,反省をしていても,その表現の仕方が分からないことに加えて,被害者遺族がどういう思いをしているのか相手の立場に立って考え,被害者遺族を傷つけないで自らの気持ちを表現するにはどうしたらよいのか,などの配慮を欠いていた状態であったことは否めません。

Q 被告人は本当に反省しているのですか。
A 被告人には,事実と向き合うことによって,反省の情が芽生えています。
  ただ,被告人の人格レベルや精神的に未発達な状況から,被害者遺族や世間に受け入れられるまでには至っていません。
 自己の行った行為を振り返り,事実に向き合って初めて反省が可能になると思われますが,被告人は,上告審の最終段階になり,初めて被告人に記録が差し入れられ,自分の行動を振り返り,事件に直面しようとしはじめたばかりなのです。それまでは,悲惨な結果から大人が考え出したストーリー,つまり検察官の起訴事実が一人歩きしており,被告人には事件を振り返り,自ら向き合うという機会が奪われていました。
 そういう意味で,現在の差戻審では,被告人は事件に向き合って,事実を語らなければなりません。その上で,被告人は,逃れることのできない事実に自ら直面して,徐々にではありますが,内省が深まっていくものと思われます。

Q 被告人が,差戻審の法廷で被害者の遺族を睨んだといわれていますが,そんなことがあったのですか。
A そのような事実はありません。

Q 被告人は,死刑判決の可能性が出てきて,表面的には反省しているということを装っているだけではないでしょうか。
A そのようなことはありません。被告人はようやく事実に向き合い,反省する素地ができたのです。


5 被害者遺族について

Q 被害者遺族の方々の苦しみについては,どのように考えているのですか。
A 本件は,きわめて不幸で悲惨な事件です。被害者ご遺族の苦しみを,私たちが分かったかのようにして語ることは許されないと思います。
私たちができることは,弁護人の立場から,事実を一つ一つ解明し真相がすべて明らかにされるよう努力することです。私たちは,弁護人の役割を果たすことでしか,被害者ご遺族に向き合うことは許されないと思っています。
 また,精神科医のA氏は次のように言っています。
 「被害者の遺族の苦しみは大きい。殺害事件に遭遇したとき,被害者遺族は,当初はそれを認めず,次には加害者を非難して,非難しなければ被害者に顔向けができないと感じることもある。そして,自らに責任がない場合でも自らを責めてしまうこともある。しかし,裁判は終止符にはならない。被害者遺族もこれからを生きていかなければならない。そのためには,自らを責めるのではなく,生きていっていいのだということを社会全体が受け止めることが大事だ。」


6 死刑判決は当然ではないかとの疑問

Q 被告人はお母さんと幼い児童を殺してしまったのですから死刑判決は当然ではないでしょうか。
A 過去の判例によれば,本件のような事案が死刑相当となることはありませんでした。また,被告人が故意に被害者と被害児を殺害したかどうかが争点となっていますので,死刑を科す前提の事実が確定していません。
 本件事件当時の被告人の成熟度,人格的問題等を十分に理解した場合,死刑判決が当然とは言えないと考えています。


7 懲戒請求への疑問

Q 本件では21名の弁護士に対して多くの懲戒請求がされていると聞きますが,弁護士が懲戒となるのはどのような場合ですか。
A 弁護士が犯罪を犯したり,弁護士の品位を失わせる非行を行ったような場合です。

Q 懲戒請求することで刑事責任を問われることはありますか。
A 懲戒処分を受けさせる目的で虚偽の懲戒請求をすると,虚偽申告罪の対象となりえます。

Q 懲戒請求することで民事上の責任を問われることはありますか。
A 通常の注意と調査をすれば懲戒請求に理由がないことが容易に分かるのに,あえてこれを行った場合には,損害賠償責任を負うことがありえます。

Q 弁護団に対する今般の懲戒請求についてどう評価していますか。
A 私たちの弁護活動は,必要かつ適切なものです。この懲戒請求で懲戒処分がなされるということは,およそ刑事弁護をしてはならないということであると確信しています。
 テレビなどを通じて,タレント弁護士による「自分は10件くらい懲戒請求されているが,これをされると大変。みんなで懲戒請求してやりましょうよ。」との不用意な扇動発言や,検察官出身の弁護士らの偏った論評を鵜呑みにして,署名活動のような感覚で懲戒請求をなされた方がおられるとしたら,非常に残念なことです。
                                   以上

■■引用終了■■


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2007-09-03 23:59 | 新聞捨ててテレビを消そう | Trackback(20) | Comments(46)
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Commented at 2007-09-04 10:50 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2007-09-04 10:50 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 眠り猫 at 2007-09-04 14:27 x
 ヤメ蚊さんのところにも書いてきますが。
 これは弁護側の一方的な主張であり、真実かどうかは不明です。一審、二審で出さなかった全く違う事実を出してくること自体が、弁護団への不信を募らせている面があります。
 私は法廷の判断を待ちたいと思います。マスコミの一方的つるし上げ主張を批判するのなら、同様にヤメ蚊さんの一方的発言も批判されるべきです。
 私は現行刑法を変えて死刑廃止すべきと思っていますが、現在の法律では死刑がある以上、それに処されるのもやむをえないと思っています。
 また、死刑判決は、殺害した人数などで一概に決まるものではありません。
Commented by ノリタケ at 2007-09-04 15:14 x
私が死にたくなってる間に、スーさん書いちゃいましたねぇ。

>Q これまでの1審・2審で主張していなかった事実を差戻審で主張す
>ることは許されるのですか。
>A 法律上許されています。

法律上許されている。裁判においてはこれが全てです。1,2審と違う主張を行ったのは、法律上許されているからです。だから被告人弁護団は、裁判を有利に進めるために、従来とは異なった主張をした。それ以上でもそれ以下でもありません。

実際に起こった現実と、法的に認定された事実との間には、途方もないギャップがある。この点はスーさんもご存じのはずです。このQ&Aで紹介されているのは、被告人弁護団から見た法的事実の主張でしかありません。

それにこのQ&Aでは、被告人が知人に送ったとされる悪辣な手紙(ご存じですか?)については一切触れず、弁護団のワンサイドインフォメーションのみとなっています。それを鵜呑みにするがごとく紹介するなんて、「スーさんらしくない」ですよ。

あと精神鑑定についてですが、現在の精神状態を鑑定しても意味はありません。反抗直近の精神状態を鑑定したものでないと、証拠としての意味は持ち得ないはずです。
Commented at 2007-09-04 17:33 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2007-09-04 19:15 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by suyap at 2007-09-04 21:59
眠り猫さん、ノリタケさん、
わたしは、この事件の報道はインターネットを通して文字でしか知りません。それでも、この騒がれようは異様だと思っています。そして、ついその背後にあるものを考えてしまいます。辺野古については知らんぷりを決め込むメディアが、どうしてこの事件ではこんな大騒ぎをするのでしょうか?それには絶対に裏があると思っています。

眠り猫さん、
>同様にヤメ蚊さんの一方的発言も批判されるべき
ヤメ蚊さんもわたしも、「こういうのがあるよ」と紹介しただけです。それを批判されるのはかまいませんが、そもそも検察と被害者側が一緒になって大々的にメディアをあおらなければ、弁護団側もこんなものを出さなくても良かったはずです。

ノリタケさん、
>被告人が知人に送ったとされる悪辣な手紙
どうして、このようなものが世間に出回るのでしょうか?「知人」があおった質問に言語能力の発達していない被告が乗ってしまったという意見もあります。わたしもそれをそのように読みました。それにしても、検察は「知人」からどういう経緯で証拠提出してもらったのでしょうか?検察と「知人」がグルになって、被告を乗せたとも考えられます。
Commented by suyap at 2007-09-04 22:00
続きです。
事件の第一報も、二次報道も、それに続くメディアの大喧騒も、まったく目にしてない者から見れば、この事件の被告は、現代の日本のどこにでも居そうな、精神発達が未熟でアンバランスな若者が、衝動的に犯した罪であるように見えます。大切なのは、そういう若者が増えている社会の実態を考え対処することであって、この若者一人の命をひねりつぶしたところで、同じような事件はこれからどんどん発生すると思います。たとえこの若者が死刑になっても。その良い例が池田小の事件ではなかったでしょうか?

Commented by ノリタケ at 2007-09-05 07:57 x
>この騒がれようは異様だと思っています。そして、ついその背後にある
>ものを考えてしまいます。

ぱっと思いつくのは、

1.事件の猟奇性(死姦含む)
2.これまで無視されてきた被害者救済への注目
3.治安に対する不安と厳罰化を煽るマスコミのムード
4.被害者遺族が「救済としての厳罰」を求める積極的活動をしたこと

この4点でしょう。「背後にあるもの」は3でしょうね。これが下地となって、1や2、さらには4が注目されるようになったと。

>どうして、このようなものが世間に出回るのでしょうか?

検察側が裁判の証拠として提出し、裁判所によって採用されたからでしょう。

>それにしても、検察は「知人」からどういう経緯で証拠提出してもらった>のでしょうか?検察と「知人」がグルになって、被告を乗せたとも考えら
>れます。

「知人」は「その内容があまりにひどいから云々」とか言ってたように記憶しています。検察とグルだったかどうかは、憶測の域を出ないので何とも言えません。
Commented by ノリタケ at 2007-09-05 08:00 x
>事件の第一報も、二次報道も、それに続くメディアの大喧騒も、まったく
>目にしてない者から見れば、この事件の被告は、現代の日本のどこに
>でも居そうな、精神発達が未熟でアンバランスな若者が、衝動的に犯し
>た罪であるように見えます。

それは当然でしょう。被告側弁護人はそのように主張しているわけですし、メディアの注目もそこに集まってますからね。

>大切なのは、そういう若者が増えている社会の実態を考え対処すること

これには全く同意です。

女子高生コンクリート詰め殺人事件、連続幼女誘拐殺人事件、神戸の連続児童殺傷事件ときて、池田小学校の事件。これらの事件を契機に、猟奇的事件に対する報道のあり方ががらっと変わっていったように思います。あるいは、ニュースのバラエティ化が猟奇的事件を求めた、というべきかもしれません。
Commented by suyap at 2007-09-05 23:31
ノリタケさん、
猟奇事件は昔からいろいろ起きています。
それがメディアによって光事件と正反対の扱い方をされたのが、阿部定事件でしょう。これは1936年2.26事件のあとの重苦しい雰囲気を「一気に吹き飛ばしてくれた」と歓迎されたそうです。予審調書や惨殺された被害者の現場写真まで流れ出し、被告人は4年で恩赦となり、戦後も長いことメディアに登場しつづけました。(世間が、この事件に浮かれている間に、盧溝橋事件から日中戦争への突入します)
http://www.asahi-net.or.jp/~gr4t-yhr/abesada0.htm
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/8175/sada.html

いまのメディアは事件をどんどん「救い」のない方向に持って行こうとします。また、ノリタケさんが挙げた事件の中には、検察側の主張や確定した「真相」を疑問視する人もいます。(つづく)
Commented by suyap at 2007-09-05 23:55
つづきです。
前掲の阿部定の予審調書を読みながら、これと光事件の被告人の「知人への手紙」と、どういう差があるのだろう-との感慨を持ちました。また神戸の連続児童殺傷事件の被告人とされている少年が書いた手記にも同じような感慨を持ちました(ただし、これは別の側面から見る必要も感じています)。

それらを、ことさらに「猟奇事件」として騒ぎたて、世論を犯人糾弾にのみむけて誘導するようなメディアと検察のリークには、明確な「意思」を感じます。

>これらの事件を契機に、猟奇的事件に対する報道のあり方ががらっと変わっていったように思います

これは大変重要な「感じ」です。これが、なぜかと考えないと、大変なことになると思います。ヒントは、日本を取りまく世界状勢とアメリカさまの意図...すべて結びついていると思います。
Commented by ノリタケ at 2007-09-06 03:58 x
おはようございます、というにはあまりにも早すぎますね(苦笑)

>猟奇事件は昔からいろいろ起きています。
>それがメディアによって光事件と正反対の扱い方をされたのが、阿部
>定事件でしょう。これは1936年2.26事件のあとの重苦しい雰囲気を
>「一気に吹き飛ばしてくれた」と歓迎されたそうです。

阿部定事件については知っています。いいかどうかはともかくとして、当時は、エログロをタブーではなく娯楽として受け入れる素地があったんですよね。

>いまのメディアは事件をどんどん「救い」のない方向に持って行こうとし
>ます。

これは同感ですね。欧米では、All or Nothing的な近代的裁判の「冷たさ」は、裁判外のキリスト教の「暖かさ」や「許し」や「救い」によって補完されているのでしょう。しかし日本にはそれがない。これは大きな差だと思います。しかし、そこには焦点が当たらない。私にはそれが歯がゆくてしょうがない。
Commented by ノリタケ at 2007-09-06 04:01 x
続きです

>ノリタケさんが挙げた事件の中には、検察側の主張や確定した「真相」
>を疑問視する人もいます。

いずれの事件も法廷記録を読んでいないので何とも言えませんが、どんな法的事実に対しても、疑問視する人は常にいるわけです(その最たる者が裁判の当事者です)。何と言っても、異なる法的事実を争う場が裁判ですから。

私の考えでは、裁判では法的事実(legal fact)は明らかになっても、真実は明らかになることは決してありません。真実(reality)は、それぞれの人ごとに異なった形で存在しうるわけですから。

>これは大変重要な「感じ」です。

多分私が感じてるのとスーさんが感じてるのとは、若干ずれてるかもしれませんが、多分繋がってると思います。

私は猟奇性を感じさせる物/者を、日の当たる場所から排除することに違和感を感じています。身近なところでは、「気違い」や「かたわ」(敢えてこれら言葉を使います)の人が、いつの間にか周囲からいなくなっていったのに、気味悪さを感じるのです。

それではおやすみなさい
Commented by suyap at 2007-09-06 21:55
ノリタケさん、
お晩です^^
>エログロをタブーではなく娯楽として受け入れる素地
いや、当時は2.26事件の直後で、国家権力はあえてエログロを煽って国民の鬱屈のガス抜きをした-と考えられます。それでなければ被害者の現場写真や予審調書が世間に出回るわけがないでしょう。世論をエロ黒と情緒で煽り被告人に温情を示すことで、国民に「お上もなかなか粋ではないか」と思わせる-という風に使われました。

※このブログの本文に追記がありますから、もう一度、頭から読んでね。

>キリスト教の「暖かさ」や「許し」や「救い」によって補完されている
この件、異議ありです。これは検察VS被告人弁護人という役割分担を社会構成員がはっきり認識しているかどうかの差だと思います。TBいただいたこちらの記事の説明が秀逸です。
「刑事弁護人の立場・役割とは?」
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/
blog-entry-549.html
Commented by suyap at 2007-09-06 21:55
つづきです。

>法的事実(legal fact)は明らかになっても、真実は明らかになることは決してありません。真実(reality)は、それぞれの人ごとに異なった形で存在しうるわけですから。

要するに100人いれば100とおりの真実があるということですね。
しかし、わたしが述べた「真相」とは、冤罪も視野にいれたものです。いまの日本の警察のように自白が強要され、非常識で違法な拘留が強行され、裁判で自白調書が重要視される限り、すべての刑事事件に冤罪の可能性を疑ったほうがいいでしょう。

>いつの間にか周囲からいなくなっていったのに、気味悪さを感じるのです。

だから、それはなぜかを追求し、いまアクションを起こさなければならないのです。それぞれのやり方で、遅くなりすぎる前に。
Commented by 美爾依 at 2007-09-07 00:58 x
こちらの記事で紹介いただきありがとうございました。この事件はこれまであまりにもマスコミによって操作されていたという感がありましたが、被告の弁護団が立ち上がったことによって世論も変わっていくことを期待しています。
Commented by ノリタケ at 2007-09-07 06:05 x
最近夜8時に寝て朝3時に起きるという、じじむさい生活をしています。

>いや、当時は2.26事件の直後で、国家権力はあえてエログロを煽って
>国民の鬱屈のガス抜きをした-と考えられます。

最近、エログロ写真の社会的背景にちょっと関心があるのですが、『日本残酷写真史』という本に、当時のエログロ報道写真について次のような指摘がありました。

・国策にそって宣伝活動を実践するという意図の明確化
・戦争や軍部による政治テロによる、エロ・グロ・ナンセンスの扇情的雰囲気の横溢
・エログロ報道写真に対する検閲の開始

グロ記事はOKでも、グロ写真は検閲で修正させられたそうです。なお、阿部定事件の写真は新聞には掲載されていません。

確かに阿部定事件は、2・26事件の陰鬱な空気を一気に吹き飛ばしたようですが、国家がエログロを「煽った」というのはどうでしょう。南京大虐殺のグロ記事は煽りが明白ですが、国家がエロを煽るというのは、どうもぴんと来ないなぁ。

なお、外部流出した阿部定事件の予審調書は地下出版で、当局のガサ入れを食ってます。

以上、無駄話でしたm(_ _)m
Commented by ノリタケ at 2007-09-07 06:39 x
>>キリスト教の「暖かさ」や「許し」や「救い」によって補完されている
>この件、異議ありです。

ここは犯罪被害者について書いたつもりだったのですが、誤解を与えてしまったようですね。欧米では、キリスト教的価値観が、犯罪被害者の「許し」や「救い」に大きな役割を果たしているのではないか、ということです。そういう下地があるから、検察vs被告人弁護人という、被害者不在の刑事裁判が機能しうると。逆にそういう下地がないから、日本では被害者の不満が高まり、応報的刑罰が支持を受けると。

裁判員制度を重罪に適用したというのは、応報的刑罰を裁判に取り込もうという動きであると言えるでしょう。私は、重罪に対する裁判員制度には反対です。裁判員制度は、重罪ではなく微罪に対して行われる方がいいと考えています。

>しかし、わたしが述べた「真相」とは、冤罪も視野にいれたものです。

この点については、裁判所が推定無罪の原則に則った、厳格な法廷運営を行って欲しいと思います。

>だから、それはなぜかを追求し、いまアクションを起こさなければならな>いのです。それぞれのやり方で、遅くなりすぎる前に。

療養開けに始めます。
Commented by suyap at 2007-09-07 09:05
美爾依さん、
こちらこそ、記事中のご紹介をありがとうございました。急にアクセスが増えたのでどうしたのかと思っちゃいました。きっこちゃんの記事絡みでこの件にも首をつっこんでしまいましたが、適正な裁判制度について、少しでも多くの人が考えるきっかけになればと願ってます。
Commented by suyap at 2007-09-07 09:44
ノリタケさん、
> 最近夜8時に寝て朝3時に起きる
理想的な生活ではありませぬか!

>国家がエロを煽るというのは、どうもぴんと来ないなぁ。
エログロとひとまとめに書いてしまいましたが、この事件がフィーバーしたのは、やはり警察、検察、裁判所の対応と情報提供が大きく貢献したと思います。「エロを煽る」のではなく、猟奇事件を利用して世論のガス抜きをした。

>外部流出した阿部定事件の予審調書は地下出版で、当局のガサ入れ
ガサ入れして原本とつき合わせて内容が完全に同一だと発表したらしいから、ヤラセとも考えられるのでは?それに定に対する官憲の「温情」的措置は、女性に対する逆差別(女性蔑視)でもあります。

なお阿部定事件について、エロスの極みだの永遠の愛だのと美化して、それを題材にいろんな作品が生まれていますが、わたしは「執着」というレベルの愛欲(狂気)が一線を越えさせたに過ぎないと思っています。加害者の情緒的なアンバランスという点では光事件との共通性を感じます。阿部定作品の作家がみんな男性なのも興味深いところです。もしかして、オトコの心理にはああされたいという願望がどこかにあるの?(笑)
Commented by ノリタケ at 2007-09-07 12:18 x
>>最近夜8時に寝て朝3時に起きる
>理想的な生活ではありませぬか!

何言ってんですか(苦笑) ここんところめちゃくちゃ調子悪くて、ようやく回復しかかってる最中だから、まだ睡眠時間が安定してないんですよ。

>猟奇事件を利用して世論のガス抜きをした。

意図的に「した」のか、結果的に「なった」のかは、私には判断しかねますが、ガス抜きになるような時代状況であったのは確かですね。

>ガサ入れして原本とつき合わせて内容が完全に同一だと発表したらし
>いから、ヤラセとも考えられるのでは?

うーん、それを言い出したら切りないですよね。精神分析学者が研究のために筆写したのを闇で売った、というのが公式見解のようですが、こちらの説を採ったとしても、完全に同一(写し間違いはあったとしても)というのはあり得るわけで。やっぱり「真相は闇の中」ってところなんじゃないでしょうか。
Commented by ノリタケ at 2007-09-07 12:21 x
>定に対する官憲の「温情」的措置は、女性に対する逆差別(女性蔑視)
>でもあります。

ちょっと調べたところ、定の弁護人は、定も吉蔵も「精神異常者」(もちろん当時の基準で)と主張したようです。これが実際の判決にどの程度の影響を及ぼしたのかはわかりませんが、被告人の「精神遅滞」(もちろん現在の基準で)を主張する光市事件とも関連する、興味深い点ではあります。

>わたしは「執着」というレベルの愛欲(狂気)が一線を越えさせたに過ぎ
>ないと思っています。

私は、サディズム/マゾヒズム、そしてフェティシズムの暴走と見ます・・・って、同じことか。光市事件と大きく違うのは、阿部定事件は定と吉蔵の半ば合意があって生じたという点ですね。これに対して光市事件は、故意にせよ過失にせよ、犯人の一方的な暴走によって生じた事件ですから。

>もしかして、オトコの心理にはああされたいという願望がどこかにある
>の?(笑)

それは私のマイミクのM長男に聞いてください(爆)
Commented by suyap at 2007-09-07 13:28
ノリタケさん、

またしつこく(笑)
>吉蔵の半ば合意があって
この点は、わたしは疑問なんですよ。確かに被害者は逃げるチャンスはあったけど、最初に絞められて体力減退しているところにカルチモン(だったっけ)の大量投与、その時点で被害者は加害者の殺意をふと感じたかもしれませんが、まだ信じているところがあったのではないか。

一方、加害者はかなり前から明確な殺意を持ったとわたしには思えます。独占したい、という異常な執着(愛と憎しみは同源ですなあ...)は、殺人に対する畏れおも希釈したのではないかと。
検察が加害者の殺意にもっと重点をおけば、この事件の判決は違ったものになったでしょう。

オンナは怖いわよ、ウッフッフ
Commented by suyap at 2007-09-08 12:14
光市母子殺害事件に関心のあるみなさんへ、
まず、本記事のタイトルをフルネームに変えました。
それと、事件を考える上で大事な情報が少しずつ読めるようになりました。
本文で紹介した津久井弁護士の記事
http://tukui.blog55.fc2.com/
blog-entry-487.html
とともに、
弁護士のため息
http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/
blog/2007/09/post_288f.html
超初級革命講座
http://tknr.net/mt/archives/
200708/15-1017.php
も、つけられたコメントも含めてじっくり読むと、目から鱗の発見がたくさんあるでしょう。
Commented by Niphonese at 2007-09-08 21:17 x
英語その他の得意な方は,この事件について海外向けに文章を書いてもいいんじゃないですかね。死刑の是非を云々する以前に,公正な刑事裁判を受ける権利を日本人が自ら放棄しようとしているわけですから。これが自殺行為だということが全くわかっておらず,問題意識もないので,人権問題として海外に訴えて,批判を日本国内に還流させる方法しかないのではないかと思います。
Commented by suyap at 2007-09-09 23:36
Niphoneseさん、こんばんわ、
そうですねえ、国内の刑事事件の解決を海外に求めるってのもなんかなあ...良い仕事をする弁護士をもっと応援する、とか、腐れメディアを糾弾するとか、国内でできることはたくさんありますね。「海外の人」に期待できることは、「海外の人」に利害関係が生じる場合でしょう。そんな気がします。
Commented by ノリタケ at 2007-09-10 20:00 x
素朴な疑問です。

なぜタイトルを「光市事件」から「光市母子殺害事件」に変えたのでしょうか。「殺害」というのは、過失致死ではなく殺人行為を前提にした表現なものですから、驚いた次第です。あるいは、より多くの人に読んでもらいたいという戦略的理由からタイトルを変えたのであれば、納得です。
Commented by ノリタケ at 2007-09-10 20:09 x
それから、紹介されたブログを見てきました。「超初級革命講座」の結びの一文

>正直,橋下弁護士はいわゆるオーソドックスな弁護士に向いていない
>のではなかろうか。そんなに既存の法曹が嫌いなら,弁護士を辞めて
>タレントで食べていけば良かろうに。

これはひどい発言です。橋本弁護士を支持するわけではありませんが、弁護士に蔓延するオーソドキシー崇拝とも言える保守的な姿勢が垣間見えて、非常に不快でした。本来なら向こうに書き込むべきなのですが、すでにコメント欄が閉められていましたので、こっちに書き込んだ次第ですm(_ _)m
Commented by ノリタケ at 2007-09-10 20:14 x
以前から私が言っていることですが、裁判は所詮、勝訴を得るための「論理ゲーム」なんですよ。「正義」だとか「倫理」だとか「道徳」だとか、そんな「非論理的」で「感情的」なもんは、どーだっていいんです。それを踏まえた上で読めば、被告人側弁護団の主張も、被告人の利益の追求として当然です。それを常識とか感情で批判しても、意味がない。メディアはこの点をもっと論じるべきです。

おそらく一般の弁護士は、法と常識との乖離を維持させる必要性を感じているのでしょう。いわゆる「リーガリズム」という奴です。それに対して橋本弁護士は、「司法と常識との乖離」に批判的なのでしょう。常識の法制化、つまり「リーガライゼーション」を指向しているのかもしれません。

でもどちらの立場であれ、「法」があくまで主なわけですよ。違いといえば、常識とか道徳とかをどれだけ法の網にかけるのか、という点だけのように思えます。
Commented by ゴンベイ at 2007-09-11 09:01 x
Yahoo!動画 - アジアプレス ビデオジャーナリスト報告
http://streaming.yahoo.co.jp/p/t/00348/v01642/
山口県光市「母子殺害事件」 7月公判 被告弁護団記者会見が全9回のシリーズ動画として掲載されています。
Commented by ゴンベイ at 2007-09-15 01:29 x
今枝弁護士がホームページを開設

弁護士・人間・今枝仁 - Yahoo!ジオシティーズ
http://beauty.geocities.yahoo.co.jp/gl/imajin28490
Commented by suyap at 2007-09-26 19:49
ノリタケさん、

やっと少し腰を落ち着けて考えられるようになったので遅レスします。

>なぜタイトルを「光市事件」から「光市母子殺害事件」に変えたのでしょうか。「殺害」というのは、過失致死ではなく殺人行為を前提にした表現なものですから、驚いた次第です。

お察しの通り、何の考えもなく「フルネーム(?)」のほうが通りやすいかなと思っただけです。うかつでした。妥協案といわれるかもしれませんが、「光市(母子殺害)事件」とタイトルを変えました。

それと「超初級革命講座」へのコメントをここで書かれても、困りますねえ。あちらの文言に意見があるなら、ご自分のページで主張なさるか、なんらかの手段で書き手に伝えてください。ここでリンクや紹介したからといって、わたしがその書き手の主張に100%同意しているわけではないことも多いです。

しかし、「超初級革命講座」さんの、
>正直,橋下弁護士はいわゆるオーソドックスな弁護士に向いていない
>のではなかろうか。そんなに既存の法曹が嫌いなら,弁護士を辞めて
>タレントで食べていけば良かろうに。
というコメントは、わたしは100%「そうだ、そうだ」とうなづきました。
Commented by suyap at 2007-09-26 20:15
ノリタケさん、続きです。

>被告人側弁護団の主張も、被告人の利益の追求として当然です。それを常識とか感情で批判しても、意味がない。メディアはこの点をもっと論じるべきです。

↑それ↑ができてない、というか、わたしの考えでは故意に出来にくいような方向へメディアが煽っている(タレント橋下をも使って)から、危惧しているわけです。

ノリタケさんはずいぶん橋下弁護士に同情的ですが、

光市事件懲戒請求扇動問題 弁護団広報ページ
http://wiki.livedoor.jp/keiben/d/FrontPage
の、「橋下弁護士の記者会見に対するコメント」
http://wiki.livedoor.jp/keiben/
d/%b6%b6%b2%bc%ca%db%b8%ee
%bb%ce%a4%ce%b5%ad%bc%d4%
b2%f1%b8%ab%a4%cb%c2%d0%a4
%b9%a4%eb%a5%b3%a5%e1%a5%
f3%a5%c8

を読んでもなお、橋下氏が、
>橋本弁護士は、「司法と常識との乖離」に批判的なのでしょう。
などと言っておられますか?
Commented by suyap at 2007-09-26 20:17
さらに続きです。

彼はあれだけ自分自身の読者を煽っておきながら、自分では懲戒請求していなかった-この一事をとっても、人間性がわかると思います。

検察側にしろ弁護側にしろ、法を扱う人間はクライアント(または権力側)の利益を前提に活動をする-これが裁判のルールですが、その際も、双方が人間としての根源的な倫理哲学(エティックス)に基づかなければ、アメリカ並のリーガル・ビジネスに陥ってしまいます。そういう意味でも、橋下某は対米従属・新自由主義の走狗です。

だからこそ、マスコミにもてはやされ、利用され、本人も悦にいっているのでしょう。
Commented by suyap at 2007-09-26 20:24
ゴンベイさん、
いつも情報ご紹介、感謝!です。
ビデオサイトは、50kbpsに満たないアクセスでは閲覧は無理ですが...
今枝弁護士のブログは全編熟読しました!
この裁判で世間の風が少しずつ変わってきているのは、弁護団のこのような人柄と努力のお陰もありますね。

この裁判を通して、刑事被告人弁護というものの理解が広まることを祈ります。そして、願わくば絶対に怪しい「裁判員制度」の廃止に持っていきたいものです。
Commented by ノリタケ at 2007-10-02 14:53 x
>スーさん

>それと「超初級革命講座」へのコメントをここで書かれても、困りますね
>え。

おっしゃるとおりでm(_ _)m ただ、ここは非常に重要な点だと思うんですよね。

日弁連とその下部組織(各地の弁護士会)ってのは、「法」という専門的知識を独占する、いわば既得権集団なんですよ。で橋本弁護士は、見方によっては、既得権集団化し半ばなれ合い状態になっている弁護士会に、異議申し立てをしているようにも見えないこともない。

ただ、私が書き込みをした後色々なことが明るみに出て、すっかり萎えてしまいました。橋本弁護士自身は懲戒請求をせずにきっちり保身図ってるのがどうしようもなくセコイ。やっぱタレントになった方がいいですわ。

あ、ちなみに私は「リーガリズム」にも「リーガライゼーション」にも批判的です。どっちに転んでも得をするのは弁護士ですから。
Commented by suyap at 2007-10-02 19:48
ノリタケさん、

>橋本弁護士自身は懲戒請求をせずにきっちり保身図ってるのがどうしようもなくセコイ。やっぱタレントになった方がいいですわ。

でしょでしょ(笑_

>私は「リーガリズム」にも「リーガライゼーション」にも批判的です。

そんな舌かみそうなコトバを弄するより、自然法&原理原則をわきまえる弁護人を大事に育てることが大事だと思います。
Commented by ノリタケ at 2007-10-02 21:47 x
>スーさん

法中心主義と法化主義といえば多少はわかりやすいでしょうか。

ところで自然法をあまり強調すると、メリケンみたいになってしまいますよ。自然法ってのは、万人の万人に対する闘争、何でもありの自由権とほぼ同義と見なすこともありますからね。

それよりは、国家と市民との間に交わされた(ことになっている)社会契約の方が重要だと思います。これによって自然法が人間の法に移行したわけですから。

弁護士には、法という国家資源&権力を独占しているんだ、という自覚を持って欲しいと思います。
Commented by suyap at 2007-10-02 22:18
>国家と市民との間に交わされた(ことになっている)社会契約の方が重要だと思います。これによって自然法が人間の法に移行したわけ

なるほど、でした。

>弁護士には、法という国家資源&権力を独占しているんだ、という自覚を持って欲しい

これも、なるほどですが、弁護士というところをロイヤーの本来の意味-司法関係者or法律家とでも言いますか?-にしたほうが良いですよね?

となると、ますます橋下某はダメやねん(笑)
Commented by 今枝仁 at 2007-12-03 01:52 x
今日、初めて読ませていただきました。
たいへん参考になりました。

これからも、いろいろと忌憚のないご意見等、よろしくお願いします。
Commented by suyap at 2007-12-03 22:32 x
今枝先生、
お越しいただいて恐縮です。
久しぶりに
http://beauty.geocities.yahoo.co.jp/gl/imajin28490
にもお邪魔させていただきました。ご家族の安全まで脅かされながらのお仕事に頭が下がります。

しかしながら...やはりわたしは死刑制度を廃止すべきだと思っています。12月3日の投稿は「(光市事件では)死刑廃止運動のための弁護活動はなされていなかったということは訴えたい」というのが主題だったと思いますが、ご自身への凶器による脅しを受けたがゆえに死刑制度は(消極的にではあるが)存続したほうが良いと思うようになった-では、あまりにも感情論すぎるのではありませんか?

死刑制度を存続すれば、銃弾を送りつけて恐喝する行為を減らせるとお考えになりますか?
Commented by ゴンベイ at 2007-12-29 23:30 x
●Because It's There
「死刑廃止なくして裁判員制度なし」~団藤重光・元最高裁判事に聞く(朝日新聞)
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-743.html

団藤重光氏のインタビュー掲載は平成19年12月20日付朝刊3面「あしたを考える」欄とのことです。

以上、村野瀬玲奈の秘書課広報室で仕入れたネタです。
Commented by suyap at 2008-01-03 10:20
ゴンベイさん、

貴重な情報をありがとうございました。
いつか記事に使えたらとセイブしました。
Commented by ゴンベイ at 2008-01-29 18:52 x
江川紹子ジャーナル:本村洋さんのお話を聞いて
2007年10月31日
http://www.egawashoko.com/c011/000241.html
Commented by suyap at 2008-01-29 21:18
ゴンベイさん、
江川さんの記事を知らせてくださって、ありがとうございました。
大事な話なので、本文中に追記しました。
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