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ミクロネシアの小さな島・ヤップより
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憲法あれこれ
日本国憲法はきのう60周年を迎えた。各地で憲法記念日をめぐる行事が行われ、アベシンゾーはわざわざこの日を選んで壊憲をぶち上げたそうだ。ようやるわ、まったく。

世の壊憲論者の「現行憲法はGHQに押し付けられたもの」だから変える必要があるという論理は、まんたくもってナンセンスだ。憲法制定までの経緯をちゃんと調べれば、史実的にも「押し付け憲法」というのは捏造だとわかることだけど、それ以前にまず、誰が作ろうと良いものは良い!(あるいは悪いものは悪い!)と、どうして、その論拠を挙げて内容で勝負しないのだろうか?

よく知られているように、日本国憲法の原本の漢字表記は当用漢字以前の旧漢字体となっており、表現もちと古めかしく堅苦しい。ところが、この憲法には並行して作成された英訳があり(ここら辺が「押し付け」論者を元気づける所以でもあるが)、これが非常に平明・シンプル、英語の学習教材にしても良いくらいの素晴らしい出来なのだ。はっきりとした主語を置かないと完結しない英語のほうが、法律表現には適しているのかもしれない。世界には憲法をひとつ以上の言語で制定している国もある。明確な論理のバックアップとして、英文日本国憲法も参考にすると良い。少なくとも、日本国憲法は、世界ではこのように読まれ理解されているのだから。

まず、格調高いわが日本国憲法前文を、英文で見てみよう。We, the Japanese peopleで始まる文章は、「憲法の主語って自分のことなんだ=主権在民」意識を、否が応でも自覚させるパワーがある。

 

We, the Japanese people, acting through our duly elected representatives in the National Diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, do proclaim that sovereign power resides with the people and do firmly establish this Constitution. Government is a sacred trust of the people, the authority for which is derived from the people, the powers of which are exercised by the representatives of the people, and the benefits of which are enjoyed by the people. This is a universal principle of mankind upon which this Constitution is founded. We reject and revoke all constitutions, laws, ordinances, and rescripts in conflict herewith.
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

We, the Japanese people, desire peace for all time and are deeply conscious of the high ideals controlling human relationship, and we have determined to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world. We desire to occupy an honored place in an international society striving for the preservation of peace, and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance for all time from the earth. We recognize that all peoples of the world have the right to live in the peace, free from fear and want.
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

We believe that no nation is responsible to itself alone, but that laws of political morality are universal; and that obedience to such laws is incumbent upon all nations who would sustain their own sovereignty and justify their sovereign relationship with other nations.
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

We, the Japanese people, pledge our national honor to accomplish these high ideals and purposes with all our resources.
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
こちらの解釈も参考になるかも:
英文日本国憲法に見る正しい前文解釈のページ

どんな憲法も、前文あるいは序文で、その憲法を貫く思想や概念を格調高く述べるものである。いわば、憲法前文(序文)はその国の看板みたいなものじゃないかしら?変な看板を掲げているのは、国民としては恥ずかしい。幸い、現在ニホンが掲げている看板は、世界のトップ水準を行っている。

もうひとつ、とっても格好良いのが、わがミクロネシア連邦の憲法序文。これからの時代に要求される「多様性の尊重」という思想を、すでに30年近く前(1975年草案、1978年公布)から先取りし、1979年に施行された。
WE, THE PEOPLE OF MICRONESIA, exercising our inherent sovereignty, do hereby establish this Constitution of the Federated States of Micronesia.
われらミクロネシア連邦の国民は、固有の主権の行使として、ここにミクロネシア連邦憲法を設立する。

With this Constitution, we affirm our common wish to live together in peace and harmony, to preserve the heritage of the past, and to protect the promise of the future.
この憲法により、われらは平和と調和のうちに共存し、過去の遺産を保持しつつ未来への約束を保護するという、われら共通の願いを確言する。

To make one nation of many islands, we respect the diversity of our cultures. Our differences enrich us. The seas bring us together, they do not separate us. Our islands sustain us, our island nation enlarges us and makes us stronger.
多くの島々からなるひとつの国を作るために、われらは、その文化の多様性を尊重する。 われらの違いはわれらを豊かにするものである。 海はわれらを結ぶものであって切り離すものではない。われらの島はわれらを支え、われらの島嶼国家は、われらを大きく、より強力にする。

Our ancestors, who made their homes on these islands, displaced no other people. We, who remain, wish no other home than this. Having known war, we hope for peace. Having been divided, we wish unity. Having been ruled, we seek freedom.
これらの島々に移住してきたわれらの祖先は、何人も他へ追いやりはしなかった。そこに留まるわれらは、他に住むことを望まない。戦争を知ったがゆえに、われらは平和を希求する。分断されてきたがゆえに、われらは統一を望む。支配されてきたがゆえに、われらは自由を求める。

Micronesia began in the days when man explored seas in rafts and canoes. The Micronesian nation is born in an age when men voyage among stars; our world itself is an island. We extend to all nations what we seek from each: peace, friendship, cooperation, and love in our common humanity. With this Constitution we, who have been the wards of other nations, become the proud guardian of our own islands, now and forever.
ミクロネシアは、人類がカヌーとイカダで海を渡っていた頃に始まった。ミクロネシア人の国は、人類が星のあいだを航海する時代に始まる;われらの世界はそれ自体が島である。われらはすべての国々にわれらが互いに求めているものを広める:すなわち、われらに共通する人となりとしての、平和、友情、協力、それに愛の探求を。いままで他の国々の1部でしかなかったわれらは、この憲法によって、これより永遠に、われらの生まれ島の誇り高き守護者となるのである。(翻訳はsuyap)
どうですか?
格好いいでしょう!


ミクロネシア連邦憲法序文の格調高さに負けないよう、ついでに日本国憲法第9条の英文も載せておこう。
Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes.
In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The right of belligerency of the state will not be recognized.
  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
この憲法の下で、どんな顔さげてアブダビ出陣中の海上自衛艦に行き、「最高指揮官として、わが国の評価を世界に知らしめてくれる諸官らを改めて誇りに思う」なんて得意げな訓示を垂れたんだろ?ヌカガは米国まで行ってトマホークをおねだりしているようだし、困ったもんです。




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by suyap | 2007-05-04 23:47 | ヤップと恥ずかしいニホン | Trackback(9) | Comments(2)
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こんにちは。いやー、ミクロネシア連邦憲法序文の日本語翻訳文、格調高いっす。原文が簡潔なこともあるでしょうが、名訳ですねえ。
Commented by suyap at 2007-05-07 14:49
blog-bluesさま、
いやいやー、やっぱり原文の格調高さのゆえでしょう。
もっと名訳が出版されているんですが、その本がどっかにいっちゃって、急遽じぶんで訳をでっちあげてしまいました。

これを書いたミクロネシア人たちは、いま70代後半になっておられるはずです。既に物故された人も多いです。60年代~70年代当初という作成年代を越える眼で世界のパワーバランスをしっかり見据えながら、誇り高く自分らの文化と、人類が本来目指すべき目標=それは自分らの島(共同体)での生活スタイルそのものであった=を、借り物の言葉(英語)にもかかわらず詩的レベルまで高められる、ほんとうのインテリジェンス(知と心)とパッションを備えた方々だったと思います。
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