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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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嵐だあ~、台風04W(Ewiniar)顛末

災いは忘れた頃にやってくる・・・

ここ数日ヤップ南東の低緯度地帯で雲が固まりかけていて気になっていたのだが、ついに昨日、熱低が発生した。まだその時点では中心や進路がはっきりしておらず、なんとなく(笑)パラオとヤップの間を通るんじゃなかろうか、ってな予想。

それだもんだから昨日のダイビングの後でボートを避難させようかと思っていたのだけど、「熱低が来てるよ」って騒ぐのがまだ恥ずかしいくらいの静けさで、とりあえず翌朝(ということは今朝)9時にボート・スタッフにスタンバイしてもらうことにして、急な状況の変化に備えておいた。

加えて昨夜は満点の星空!お客様と一緒にスター・ウォッチングなぞも楽しめて、「明日は嵐になる予定ですので海のツアーは中止にします」というわたしの決断に、その時点では「ほんとうかなあ」と思われていたかもしれない。でも、わたし的には「この静けさ、なんか不気味だぜ・・・」だったのだ。

今朝8時にJoint Typhoon Warning Centerの最新情報をチェックしても、まだ進路予想はパラオとヤップの間・・・、ヤップにどのくらいの影響が出るのか見えてこない。

で、結局、台風04W(Ewiniar)-日本では台風第3号(イーウィニャ)になる予定-様は、何を思われてかヤップに大接近あそばされたのであった。Ewiniarというのは、ミクロネシアのどっかの島の言葉で「嵐の神」という意味だそうだ。ダメだよぉ、こんな名前つけちゃ(笑)。(参照:今年はじめての熱低01W発生

下は7月1日19時Joint Typhoon Warning Center発表の進路と予想。黒の〇は既に通過したところ、ピンクの白抜き〇はトロピカル・ストーム(熱低から台風になったところ)としてこれから予想される位置、ピンクの塗りつぶし〇から大型台風になる予定。時間はグリニッジ標準時だからヤップ時間は10を足す。

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まずは、ことの次第を時系列で説明しよう。

a0043520_902746.jpg午前9時30分、風は東北東~東をさまよいながらも、まだたいしたことはなく、だけど確実に強まってる感じ。ボートをマングローブの安全地帯に移動させ、桟橋をロープで固定する。コロニアのダイビング・サービス3軒がほぼ同時刻にボートの移動を始めたので、近くの隠し場所は次々にやってくるボートの場所取り合戦。幸いうちのボートも良い場所にすべりこませることができた。

a0043520_913356.jpgうちの桟橋は大家さんであるヤップ州政府のものなんだけど、当然なにもやってくれないから、すべて自前でプロテクト。近くの大きな木や柱にロープで固定する。その間も見る見る波が高くなっていく。

a0043520_921441.jpg午前10時30分、上の写真と比べると水位が上がってランプ(桟橋と陸地を結ぶ橋)の桟橋側が高くなりつつあるのがわかるでしょ。普通はランプを下って桟橋に渡ることはあっても、ランプを登ることはない(というか、それじゃ陸が海より低いってことになる)。風が東から東南東っぽくなってきた。オオ、いよいよ来るぞ!うちの店と桟橋のあるヤップ・マリーナは、南東の風にモロ弱いのだ。そっ、それに、満潮が重なったあぁ~~~(汗)。本日の満潮は午前10時39分!床上浸水にも備えて店の中の濡れてまずいものを片っぱしから上に上げる。と同時に、ボート・スタッフたちは自分の家を守りに速攻で帰宅。

a0043520_924794.jpg桟橋はくくったし、店のほうも手を打ったし、ひとりになったマリーナでほっとしながらガニール橋方面を見ると、ありゃりゃ・・・、もう橋の上まで波しぶきが上がってて道路も冠水し始めてる。

a0043520_933998.jpgそこでふとブログ・ネタのことを思い出し(笑)、デジカメを防水プロテクタにぶち込んでやおら橋に向かって走りだす。「まあ熱低だし、やれるだけの手は打ったし」、まだこの時点では余裕たっぷりのわたしなのであった。が、写真を撮っている間に、「これは、もしかしてヤバイかも・・・」という不安がよぎり、Yap Fishing Authority(YFA、わたしは漁業公社と訳している施設)に陸揚げしてあるうちのボートを見に行った。うわぁ~、すごいことになっている!(この件は、明日続きを書きます。乞うご期待)

a0043520_95253.jpgYFAで波しぶきを浴びながら打つ手もなくボーッとしているうちにお昼になって、お客様にランチを届けなけりゃならないのを思い出す。今日のツアーが出来るかどうかわからないけど、うちのローカル・スタイル・ランチを気に入ってくださってて、ツアーがなくてもランチを食べたいとのことで注文していたのだ。

車でさっきのガニール橋に差しかかると、たった30分で既にこの状態!それに、よりによってこんな日に、タッパの高い三菱デリカじゃなくて、日本から来て間もないカローラ・セダンを運転している自分を悔やんでも後の祭り。でもお客様はお腹を空かせて待っておられるし、ええっい、あの前のセダンだって行ってるんだもん、車は後で洗えばいいや!

a0043520_961371.jpgワン・ツー・スリーで波の合間をくぐって第一関門突破。ケイサツの前も既に水深30センチはあったろうか、それでもゴー・ゴー、郵便局の前は少し高くて道が出ていた、が、バハイ・センターの前で、凍りつく。かろうじて渡っているのは、タッパの高いピックアップとバンだけ、わたしの前のセダンも引き返した。わたしも海と道路の境でさんざん逡巡したあげく、カローラの車高の半分まで漬かりながら300mもの渡海を決行する勇気はさすがに湧かず、撤退(笑)。

a0043520_965381.jpgますます水かさの増したケイサツの前と、再度の究極の波くぐりbyカーを経て、なんとか車を乾いた道路に戻してお客様に事態を電話報告、「水が引き次第ランチをお届けしますから」。鉄筋のホテルの客室にいると、海辺の修羅場は何も感じられないだろう。お客様としては、きっとわたしの言ってることの意味すら「?」だったに違いない。「いまさっき電気が止まっちゃったんですぅ」とのこと。そうか、やっと電気を切ったか(嵐が接近すると、強風で電線が切れる場合に備えて全島停電になる)。午後12時30分。

ちょっと病院方面まで見てみようとしたが、写真のようにこちらの途上も既に海。ヤップ・マリーナのあたりもどんどん水位が上がってるので、とりあえず車をちょっと高いところに駐車して、この時点で一番心配なYFAに揚げているボートを見に行くことにした。もしかしたら、このボートの最後をここで看取ることになるかもしれない・・・(この件、明日報告)

a0043520_973524.jpg午後1時30分、道や海岸地帯を被っていた海水がようやく下がり始め、風も南南東に変わってかなり弱まってきた。そろそろランチを届けなけりゃ、、、ずっとボートを見守ってたYFAからの帰りにマリーナに寄って桟橋を見ると・・・ありゃりゃりゃりゃ、とほほ、絶句。

実はこのランプ、2年前の超大型台風Sudalのときに陸側の足とジョイントが壊れてしまい、自前のボルトを打ち込んでワイヤで止めていたのだけど、時間の経過と共に、わたしはすっかりそのウィーク・ポイントを忘れてしまってた。ランプもちゃんとロープで陸側に固定しておけば、こんなことにはならなかったはず。この事態の責任はすべてわたしにございマス。とほほ、again...

ところでマリーナにはもうひとつダイビング屋さんが入っていて仲良く共存しているのだけど、そちらの桟橋も落ちちゃってる。こっちは桟橋側がはずれてドボン。これらのランプはアルミ製で超重く、一度海に落ちると引き上げるのはたいへんな労力となる。ネイチャーズウエイはマリーナに入って11年目だが、ランプが落ちたのはこれで2度目、1996年末以来の経験だ。まあ、復旧の手筈は明日考えよう(笑)

a0043520_984896.jpg午後2時、停電したホテルで退屈していたお客様たちを、嵐通過直後の見物に誘い出す。ついでにうちのスタッフの家に行って、彼らの被害状況を聞いてランプの惨状も伝えて明日からの仕事の相談をしなきゃなんないし、、、。そんな途上で見つけた母ブタ。飼い主さんは、きっとまだ豚探しどころじゃないんだろう。

まだあちこちの話が入ってこないので詳細はわからないが、今回の嵐の被害は、おそらく南東側に開けたところで多く出ていると思う。また満潮時と強風時が重なったのが痛かった。いっぽう海岸の吹きっさらしに建ってて弱っていた家屋以外は、建物自体の被害は少ないのではなかろうか?南東向きの多くの家では、急激な高潮による床上浸水、が主だった被害だったろうと思う。

それにしても、嵐や台風の度に感動するのは、雨風が止むと同時にワラワラと繰り出して道や家を片付けはじめる人々の素早さだ。どんなに強風が吹いても人は死なないし、たいして怪我人も出ない(怪我なんかしたら、恥ずかしい)。わたしもそうだけど、被害はつらいけど、嵐(台風)ってのは究極の非日常で、エクサイティングな経験なのだ。なんだかワクワク・ルンルンしている自分を自分で楽しむって感じ。そして、これがリフレッシュ・機動力になって、何か壊れちゃっても、「まっ、いいかっ。新規まき直し」って思えるのだ。

今回の嵐はいちばん強いときで平均風速毎秒20m、何かにつかまらなくても短時間ならわたしだってかろうじて風の中に立ってられる風力だ。それでもタイミングや風向きによって、被害の出るところには出る。うちの被害の原因は、完璧に備え不足ー反省ープラス風向きだけど、まあ、これも運さぁ。よっしゃ、今度から気をつけよう。

日本だとマスゴミ・レポーターがわんさかやってきて、波で流れ出したガラクタや壊れた屋根の映像を撮って、片付けに忙しい人々に向かってわざと悲壮な表情を作って、「たいへんですねえ」なんて心じゃちっとも思ってないことをガナリたてるんだろうけど、そして、それを茶の間で煎餅かじりながら見てる聴衆は、そういう状況を「大変だ、悲惨だ」と思わなきゃなんないように洗脳されちゃってるんだろうけど、幸いヤップじゃ、まだそんな余計なおせっかいをする人はいないから、みんな自分の出来ることを淡々とやっている。

それにしても、嵐って、すごいなあ。ワクワクするなあ(笑)。

(下はヤップ気象台発表の台風04W-Ewiniarデータ。風速は日本式に変えました)
時刻 気圧hPa 風向と風速/秒
09時 1004 E- 9.2m
10時 1009 ENE- 7.2m
11時 1000 ESE-20.5m
12時 999 SE-20.5m
13時 1000 SSE-19.5m
14時 1001 S-18.0m
15時 1001   S-15.0m
16時 1002 SSW-11.8m
17時 1003  SW-13.4m
18時 1005   ESE-12.9m
19時 1004  SW-11.8m
20時 1005   SW- 8.2m
21時 1006  SW- 7.2m
22時 1008  SW- 6.2m
23時 1008   SW- 8.7m

(注記)
ネイチャーズウエイでは7月3日まで桟橋復旧などのためにボート・ツアーを休止しますが、7月4日より正常どおり営業する予定です。どうかご心配なく!
(というか、この間ちょうどダイバーやボート・ツアーの予約はなく、助かりました。きっと嵐の神Ewiniarさんは、そのタイミングを見計らって来てくれたんだわ)


◆ヤップの旅の情報はこちらでどうぞ
http://www.naturesway.fm/index2.html

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by suyap | 2006-07-01 23:56 | ヤップな日々
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