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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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オオオカガニな日々

天候: 曇
風向: 東北東
風力: 8ノット
気圧: 1012hPa
湿度: 97%
気温: 25.3℃
過去24時間の最高気温: 31.7℃
過去24時間の最低気温: 23.3℃
(6月1日午前9時52分現在のヤップ気象データ)
(注)「天候」「気温」に関しては、観測時間によってデータに大きく差がでます。一般的に夜は雲が多く気温も低いです。

久しぶりの雨の朝。離島から帰ってきてうちに寄宿しているヨーロッパの友人と毎夜遅くまで話しこんでいてブログのエントリーを怠りがちなので、今日はいまのうちに書いておくことにした。さきほどの大雨も上がって少し空が明るくなってきたし。

a0043520_12444014.jpg写真は昨日まで家のバケツにいた10匹のオオオカガニ(またの名はミナミオカガニ)たち。ヤップの舗装されてない道や土地を歩くと、あちこちに大小の穴が開いているのに気づくが、それが彼らの巣だ。ふだんの彼らは海岸はもちろん山の中やジャングルの奥深くまで広範囲に住んでいるのだけど、毎年いまごろになると放精・放卵のために少しずつ海に近い方へと移動を始める。だから夜、懐中電灯とズタ袋を持ってカニ取りに行くと、けっこうな数を捕まえることができる。また海から遠い地方から来たカニさんで海辺の土地は過密状態になっていて、ゴソゴソ這い回ってタロイモやビンロウジュの根も噛み切ってしまうので、どの家でもカニを見つけ次第つかまえて飼っておく、もちろん食べるためにね。そういうわけで、わたしもこの季節にはオオオカガニをもらうことが多くなるって訳。ヤップの人にとってエビ・カニ類はぜんぜん高級な食べ物じゃなくて、「またカニかあ」って感じで食べ飽きてるので、日本人がエビ・カニ類に目がないのを知ってる連中は、「持ってけ持ってけ」と分けてくれる。

a0043520_12451959.jpg巣穴から出てゴソゴソしてるカニさんを捕まえても、すぐに食べることはできない(食べてもかまわないけど腹の中は泥だらけ)。土地つきの家だったら、カニが逃げられないような網目サイズのケージを作ったりして入れておき、枯れた葉っぱとかコプラ(ココナッツの果肉)とかを少し与えて泥を吐かせる。うちは貸家でそんなスペースがないから、バケツの中に入れて網の蓋をかぶせてて、ときどき水を入れて丸洗い(笑)。でも彼らにとっては生存がかかってるから、ある夜2匹がバケツから逃亡してカニが怖い友人を恐怖のどん底に落としいれ、深夜の屋内カニ捕り大作戦をするハメになってしまった。それにしても、どうやってあんな隙間から蓋を持ち上げて逃げ出せたのだろう。カニの頭脳は意外に発達してたりして、、、

a0043520_1246115.jpg無事に捕獲を終えて餌を与えると、うそのように静かになってパクついている。こうして毎日ながめていると、「ホントにこの子たちを食べられるかしら?」っていう気分になってくる。わたしの星座が蟹座というのと関係があるのか(そんなこたぁないだろけどね)、わたしはカニを見るのも食べるのも大好きだ。フムフム、あんた達こうしてご飯を食べるのね!そして我が身を今のカニたちに置き換えてみる。「こんな小さな穴(バケツ)に折り重なって閉じ込められたら、わたしだったら半日ともたずに気が狂って死ぬわ」

わたしは「病は気から」というのは当たっていると思う。こんな肉体的・精神的な虐待を受けると体の中は一気に病気になってしまって、きっと肝も腎もやられて腫瘍もあちこちにできるだろう、、、カニさんはどうなのか?こうした苦痛を何日も与えたあとで食べるって、よくないんじゃないか?カニさんがハッピーなうちに安楽死?でもカニの生命力はすごいのだ。湯気のバンバン上がる鍋に入れても、必死で鍋の横にしがみついて逃げようとする。それがかなわないと手足を自ら切り落とす。そうさせないために、カニの腹を鋭利なもので刺し殺して調理するという手もあるのだけど、これまた殻が固くてわたしには至難の業なのだ。ということで、今回も10匹のカニさんは少量の湯で普通に茹で蒸しされ、いま冷蔵庫で眠っている。さすがのわたしもカニにはちょっと食傷気味になってきたので、ゆっくり時間をかけて食べることにする。

オオオカガニの生態のことを書くつもりだったのに、なんだか話が変な方向に行ってしまった・・・

で、いまヤップの海岸に集結しつつあるカニさんたちは、満月の夜、時間にして1時間たらずの間に、いっせいに海に向かって行進を始める。その時間帯には、海に近い村の道も舗装道路もカニだらけになり、車だって避けられないからカニ絨毯の上を走ることになって、翌日は無残に押しつぶされたカニの死骸で道が茶色に染まるほどだ。

今年は5月の満月の夜に第一陣が放精・放卵を済ませた。今度の満月は6月12日だから、この夜も多くのカニの行進が見られるだろう。「海岸近くに住むカニは早めに済ませ、山のカニたちは海岸到着が遅れてあとになるんだ」とは、観察の鋭いヤップ人の弁。あと、満月以外のこの時期に捕れるカニはなぜかオスばかりなのを、「カニだって同じさぁ。メスは家にいてオスが夜這いするのさぁ」とさ。また放精・放卵のことを知らないあるヤップ人は、「カニのメスは妊娠したらじっと穴の中ですごして、ある夜いっせいに海に入って身体を洗うのだ」とも言った。ロマンチストの彼は、女の出産の神秘をカニにも当てはめてアドマイヤーしてるような口ぶりだった。もちろん海に入るのはメスだけじゃなくてオスも一緒なんだけど、なぜかメスの数のほうが圧倒的に多いのだそうだ。海に入る前にゴソゴソ歩き回ってるオスは、ニンゲンに捕られちゃって数が減ってるんだろうか?

そして放精・放卵を終えてヘトヘトになって海岸に上がってきたカニは、身も痩せ卵も白子も当然ないので、誰も捕まえない。このカニたちはまた山に戻って来年の産卵に備えるのだろうか。それともオオオカガニの一生は一度の産卵で終わりなの<<そんなことはないだろう。そしたらヤップの海中も浜も、カニの死骸で埋まってなきゃならないからね。

ヤップには2年前の4月に超大型台風が直撃して陸も海も大被害を受けたが、この年の(台風から2ヶ月後)カニの行進ほど凄いシーンをわたしは見たことがなかった。台風で草木の緑が一切なくなった島のあちこちから、オオオカガニが湧くように這いだしてきて、コロニアの大通りさえカニの絨毯で埋まったのだ。去年も多めだったけど一昨年ほどではなかった。さて、今年はどうだろう?


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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by suyap | 2006-06-01 10:16 | ヤップの自然・陸
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