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ミクロネシアの小さな島・ヤップより

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ヤップ語の中の日本語

先の「ギンガン」のように、ヤップ語の中には日本語由来と思われる単語がたくさん入っています。これはヤップを含むミクロネシアの島々を第一次世界大戦勃発に乗じて日本が占領し、第二次世界大戦で敗退するまで約30年間も統治していたからです。島民(ヤップ人)の子供には3年間の義務教育が課せられ、日本の文部省が編纂した教科書で徹底的な日本語と日本式の教育がなされました。 ずいぶん少なくなりましたが70歳後半以上のお年寄りは今でもびっくりするほど丁寧な日本語を話します。彼らは日本のことを「内地」と呼びます。当時はヤップ人は「3等国民」といわれていたそうです。

日本語にも外来語がたくさんありますが、もともと現地に無かったモノが外国から入ってくると、そのモノをもたらした国の言葉がそのモノの現地語になることが多いです。ある言語にどのくらい「外来語」が入っているかで、その外来語のオリジン(あっこれも外来語?)の文化の影響度とはかることができるかもしれません。そういう意味では、いまだにアメリカの半占領下にあるヤップでは米語の影響も大きいですが、ヤップ語となって生きている日本語由来の単語を少し紹介してみましょう。

まずカエル(蛙)。これは日本時代に種々のカエルを大量にミクロネシアの島々に連れてきたことによります。ヒキガエルくらいならいいですが、ウシガエルが来たときには、どこからともなく聞こえる「ウーウー」という鳴き声に、「オバケだ~」と怖くて夜道を歩けなかった、という言い伝えが残っています。

ガッコー(学校) 、センセイ(先生)、シケン(試験)、シコ(図工):今ではこれが転じてハンディクラフト全般をシコと言います。シコーキ(飛行機):ヤップ語ではhiの発音がshiになります。シコージョウ(飛行場)、シュカート(スカート)、ジュボン(ズボン)、シュミ(墨):大工さんの使う墨つぼを今でも使っています。サンボングワ(三本鍬)、タビ(足袋):日本の田植足袋がちょっと前まではタロ田用に使われていました。ゾーリ(草履)、デンワ(電話)、トヨ(樋)、トタン(トタン板)、デンキ(電気):転じて懐中電灯、コヤン(公園:転じて公園にあるような東屋風の建物を指す)、そして極めつき現役ヤップ語、チチバンド(ブラジャー)。

若い世代では上記の単語もどんどん英語に置き換わっていますが、学校関係、道具関係、米語で代用できないようなもの、に多くの日本語が残っているようです。先日うちの船外機の修理で職人と話していて、とっさに相当する米単語が出てこずにウーとかアーとか言っていると、まだ40半ばの彼がシンチュー(真鋳=ブラス)?と言ったのにはマイッタ!でした。
by suyap | 2005-11-12 08:19 | ヤップの近代史
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